「renacnatta」は、“文化を纏う”をコンセプトに日本とイタリアのデッドストックや伝統工芸素材を組み合わせ、巻きスカートをメインに商品展開するブランド。株式会社Dodici (ドーディチ)代表取締役の大河内愛加は、コロナ禍でも「文化を止めない」というメッセージを発信しながら、打撃を受ける生産者や職人とともに西陣織のマスクを製作するなど活動してきた。
なぜ異色のコラボが実現することになったのか。その背景を探った。
コロナ禍で生まれた「エンタメxファッション」
劇場へ足を運ぶ楽しみや、緞帳が上がり物語の世界へと引き込まれ、舞台と客席が一体となっていく高揚感──。こうした観劇の感動体験を味わう機会が、コロナ禍で少なくなっている。
全国各地に専用劇場を持ち、ストレートプレイ(芝居)、オリジナルミュージカル、海外ミュージカル、ファミリーミュージカルなど幅広く上演する劇団四季。2019年度までは年間3000回以上の公演を行っていたが、新型コロナウィルスの影響により政府や自治体からの要請に応じ、2020年度は1000回以上の公演が中止に。現在も要請に応じて入場率を制限しながら、あらゆる感染対策を講じて公演を実施している。
コロナ禍でも「演劇の灯をともし続ける」。そんな思いを持ち、観劇の楽しみが日常から遠のいてしまった人たちに向けて、何か新しいことができないか模索していた劇団四季が共感したのが、大河内の「文化を止めない」というメッセージだった。大河内はオファーを受けたときのことを次のように振り返る。
「四季芸術センターのある横浜・あざみ野出身で、幼いころから劇団四季を身近に感じていたこともあり、コラボの依頼をいただいた時はとても光栄に思いました。担当の方が私のインタビュー記事を読んでくださり、ブランド背景を理解した上でオファーいただいたので、同じ方向を向いてものづくりができると思い、お受けしました」
劇団四季は今年8月15日に開幕するオリジナルミュージカル『はじまりの樹の神話~こそあどの森の物語~』の衣裳生地制作において兵庫県西脇市の地場産業「播州織」メーカーとの共同開発を行い、西脇市と提携協定を結んでいた。そういった背景から、コラボアイテムは播州織を使う方向性で始動することになった。