ベルリンの人気店オーナーに聞く、大麻由来「CBD」市場のこれから

ベルリン発のCBDショップ「Hempvizer」オーナーPaulina。昨年オープンしたカフェ併設の店舗前で


──大麻草のハイになる成分であるTHC含有量のレギュレーションについて調べるのは大変でしたか。

そうですね。例えば、EUにおける基準として、THC 0.2%以下が目安になっています。しかし国ごとにそれ以上に厳格な国もある一方で、イタリアは0.5%まで許容されています。そのため我々の製品はラボでテストしてから店頭に出しています。(注釈:現在はEUの基準を米国と同じ0.3%に引き上げる方向性で法整備が進んでいるという。また日本ではTHC含有量が0%でないと取り扱えない)

CBDにおいても「特定の方法(Certain way)」でのみ使用が認められていますが、「特定の方法」が具体的に何なのかを調べるのは、簡単ではありません。要するにはっきりとなにがよくてなにがダメなのか、明記されていないのです。それぞれの店舗が自身の方法で、手探りで違法にならないようにやっているというのが正直なところです。

ストレスフルな現代に 全世代に向けて「ウェルビーイング」を


──具体的な店づくりにおけるコンセプトは?

ウェルビーイングです。ストレスフルな状況や精神的に参りそうな時にも影響されず、自分のベストな状態で1日を過ごせる日常を送ることにフォーカスしています。社会生活を送る中でストレスは誰もが抱え込むもの。そういうこともあってスピリチュアルなマインドフルネス的意味合いではなく、より具体的に心と体を健康にしようという意味です。

──最初に売り始めた製品はなんでしょうか。

最初は、CBDオイルやリラクゼーションティーのようなベーシックな物から作り始めました。「誠実な製品を届けること」を大切にしているので、パッケージだけがきれいで中身が伴わない、なんてことがないように気をつけています。他のCBDのブランドの宣伝の仕方や製品の作り方に賛同できなかったという背景もあり、次第により良いものを届けたいと思うようになりました。

なので、ミラノにある栽培施設で、栽培し主要な製品の品質改良をしています。値段が上がっていっても、いいものを購入していると安心してもらえるようなモノづくりをこころがけています。注文数だけにこだわるCBDストアがある一方で、我々、製品展開を増やし選択肢を与えられるようにしていきたいです。

ベルリンのCBDショップ「Hempviser」
店には洗練されたデザインのオリジナル商品が並ぶ

──最近ではどのような商品が人気でしょうか。

コスメ商品です。昨年化粧品のラインを展開し、大きくフェイス・ボディーヘア・ワークアウトというカテゴリに分けて販売しています。これらの商品は基本的にTHC成分の含有量がゼロなので、弁護士やパイロットなど血液検査を要する仕事に就く人にも安心して使ってもらうことができます。

CBDオイルは舌の裏で摂取するとお腹で吸収され、脳内でも作用する効き目の長いものです。私もいつもバッグに入れて持ち歩いています。忙しかったり、ストレスを感じたりしたときに使います。私も含め、忙しい現代社会を生きる人たちの長い一日を乗り切るには欠かせないものだと思います。

ベルリンのCBDショップ「Hempviser」
人気なCBDのコスメライン

──顧客層はどのあたりをターゲットにしていますか。

ヒトの体は100歳まで成長を続けるので、高齢者も子供も我々のターゲットです。我々が提示するのは手植えのピュアなものなので、てんかんを持つ子供にも使われます。今は高齢者も抑うつした気分になることが当たり前の時代なので、若い人だけでなく年配の方もCBDを必要としています。

10代の子どもを連れてくるお客さんもいて、「あれが欲しい」とおねだりしているのを見るのはうれしいですね。製品にバリエーションを持たせることを大切にしています。

ベルリンのCBDショップ「Hempviser」
子供に人気のエディブル(食用の商品)
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文=冨手公嘉 写真=小鉄裕子

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