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ティム・クックの努力と「バランス感覚」


アップルは昨年8月、中国政府の要請を受けて、アップストアから4万7000個のアプリを削除したが、アプリ開発者のローカライズを支援するAppInChina社のリッチ・ビショップCEOは、この動きの裏にはアップルと中国政府との緊密な連携があると指摘する。

「中国政府は、それまで10年以上もの間、現地の法律を遵守しないアプリがアップストアに掲載されることを許してきた。私は、この背景にアップルが様々な面で中国経済に貢献し、政府との強固な関係を築いていることがあると考えている」と、彼は述べている。

アップルの中国への依存度の高さは、2011年にスティーブ・ジョブズからCEO職を引き継いだティム・クックの努力の賜物だ。中国政府と経済界も、アップルを歓迎し、莫大な資金を投じて工場や発電所などのインフラを建設した。

中国や台湾に拠点を置く、アップルのサプライチェーンパートナーの中には、その後、ビリオネアになった者たちも居る。iPhoneの初期のサプライヤーの「Lens Technology」の会長の周群飛(Zhou Qunfei)は、127億ドルもの資産を持つ、中華圏で最も裕福な女性の一人だ。フォックスコンを創業し、iPhoneの組み立てを受託したテリー・ゴウは、67億ドルの純資産を持つ台湾トップの富豪となっている。

ウェドブッシュ証券のダン・アイブスは、「アップルとクックCEOらは、巧みな綱渡りのバランス感覚で、米中冷戦の影響を受けずに、中国での事業を成功させた」と述べている。「最盛期のアップルは中国全土で最大の輸入業者の1つとなり、100万人以上の現地の人々を雇用しようとしていた」と彼は指摘する。

アップルと中国はこれまで共生関係を維持し、アップルは時には、中国政府に譲歩を行ってきた。今のところ、両者の関係はうまくいっているが、それも、中国がアップルを脅威とみなし始めるまでの話かもしれない。

「中国は、アップルが大きくなりすぎない限り、彼らを歓迎し続けるだろう。しかし、アップルが一線を超えたなら、黙ってはいない。中国政府は、企業が大きくなりすぎて、彼らを邪魔することを決して許さない」と、ローゼンブラット証券のZgutowiczは指摘した。

編集=上田裕資

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