全米初、卒業後の収入保証プログラムを導入するカレッジが登場

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イリノイ州ロックアイランドにある小規模なリベラルアーツカレッジ、オーガスタナ・カレッジ(Augustana College)は、米国で初めて、卒業生に対して学位保険(またの名を収入保険)というコンセプトを実行に移す大学となる。同校は7月19日にパイロットプログラムを発表した。

同校は、ディグリー・インシュアランス(Degree Insurance)と提携し、卒業後の収入を保証するサービスを提供する。対象となるのは、7月15日から8月23日の期間に出願し、2021年秋の入学が認められた編入者20人だ。契約者となる20人の学生たちは、オーガスタナ・カレッジ卒業後の5年間、自身の専門分野の平均収入を受け取ることができる。

2500人の学生が在籍するオーガスタナ・カレッジには、年平均40人が編入するため、新たに20人の編入者を募ることで、編入者の人数は50%増となる。

このプログラムは、ディグリー・インシュアランス独自の保険商品である「アメリカン・ドリーム・インシュアランス(ADI)」のパイロットテストだ。この保険はもともと、大学が学部の新入生全員を加入させることを想定しており、卒業後5年間にわたって一定の年収を得られることを保証するものだ。

保証される収入はアクチュアリーによって算出され、学生の専攻や所属する大学によって異なる。例えば、オーガスタナ・カレッジで心理学を専攻した場合は年収5万ドル、同校の経営学専攻の場合は年収6万ドルが見込まれる。

卒業後5年間の収入が保証額に満たない卒業生に対しては、税務書類W2(日本の源泉徴収票に相当)や連邦納税申告書で確認した実際の収入と、保証額との差額が保険金として支払われる。

心理学専攻の卒業生が年間4万5000ドルしか稼げなかった場合、5年分の累積差額である2万5000ドルが5年後に一括で支払われる。経営学専攻の卒業生の年収が5万2000ドルだった場合、5年後に支払われる差額は4万ドルとなる。

収入保証の資格維持の条件として、加入者の学生は、オーガスタナ・カレッジ卒業後、米国内で働く必要がある。大学院や専門学校に進学したり、教会のミッションなどでボランティアをしたり、教育NPO「ティーチ・フォー・アメリカ」などのプログラムに参加した場合、その期間は保険適用が除外される。卒業生が該当分野で最初の仕事に就いた時点から、保険適用が開始される。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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