フランスやイタリアで接種率急上昇 ワクチンパスの提示義務化で

エマニュエル・マクロン大統領(Chesnot/Getty Images)

新型コロナウイルスの感染者が増えているフランスやイタリアで、政府がワクチン接種証明書の導入など制限措置の強化を打ち出したのをきっかけに、ワクチンの接種率が急上昇している。

フランスではエマニュエル・マクロン大統領が今月12日、カフェやレストラン、映画館、列車などに入る際に、接種済みか検査の陰性を証明する「衛生パス」の提示を義務づける方針を発表してから、400万人が1回目の接種を受け、600万人近くが接種を予約した。

フランスは国民のワクチン忌避傾向が世界で最も強い国の一つだが、マクロンの発表後、1日で100万人近くが接種を予約した。

イタリアでもマリオ・ドラギ首相率いる政府が同様の「グリーンパス」の導入を22日に発表すると、1日で15万人あまりが接種を予約。増加率は各地域で15〜200%にのぼったという。地元メディアからは「ドラギ効果」と呼ばれている。

一方、反対派の抗議活動も活発になっている。フランス各地では24日、当局の発表で計16万1000人がワクチン接種の事実上の強制などに反対する路上デモを行い、参加者は1週間前の11万4000人から増加した。フランス議会は26日に衛生パスに関する法案を可決している。

イタリアでも同様のデモが各地で起きている。

マクロンは25日、訪問先の仏領ポリネシアで「他者に対する義務のない自由というものは存在しない」と述べ、抗議者が用いる「自由」という言葉の使い方を批判した。ドラギも「ワクチンを受けないように誘うのは死に誘うのも同然だ」と警告している。

編集=江戸伸禎

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