Google DeepMindの新発表はバイオ領域のロゼッタストーンになる


この新技術による影響が今後どのような方向へ波及していくのか、完全に明らかになるまでにはまだしばらく時間がかかりそうです。

例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病、嚢胞性線維症などの疾患はタンパク質の異常によって引き起こされる可能性が指摘されています。タンパク質の立体構造を迅速かつ正確に予測できるようになれば、それを適切に制御もしくは変化させる方法も解明しやすくなるでしょう。つまり、機能が向上した構造になるようにDNAの配列を変えることや、タンパク質に直接結合して作用する薬を開発することがこれまでより効率的にできるようになるのです。

また、プラスチックを分解できる酵素の開発や、農作物を気候変動に強い品種へ改良するなどといった応用も考えられます。より差し迫った問題としては、新型コロナウイルスなどのウイルスの遺伝子変異が、どのように感染力や毒性の変化につながるかをより正確に理解できるようになるかもしれません。それがわかれば、デジタルツールを活用して変異種の発生を追跡し、前もって薬やワクチンを用意できるようになることが期待できます。

以前も記事で書いたように、Coral Capitalではスタートアップの将来性を判断するための最も重要な項目の1つとして「なぜ、今このタイミングで」という点を重視しています。要するに、「本当に今が、この企業を立ち上げるのに最適なタイミングかどうか」ということです。

今回DeepMindが成し遂げた技術革新は、バイオに関わる様々な業界にかつてないほど大きな変曲点をもたらす可能性が高いでしょう。これは科学者や技術者、起業家たちにとって数多くの新しい機会を切り開くことになり、より良い未来を実現する原動力となるでしょう。

Coralでも、こうした人々の今後の活躍に期待すると同時に、この革命的テクノロジーをベースにさらに発展させようと取り組む方々の話をお聞して、積極的に投資していきたいと思っています。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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