英国が新たな変異株の調査を開始 すでに日本など各国で確認

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イングランド公衆衛生庁(PHE)は先ごろ、複数の国で感染が確認されている新型コロナウイルスの新たな変異株「B.1.621」を「調査中の変異株(VUI)」に指定、変異による影響を明らかにするための調査を開始したと発表した。

世界保健機関(WHO)によると、「B.1.621」は今年1月、コロンビアで最初に確認された。英国内では7月21日までに少なくとも16人の感染が確認されており、このうち10人はロンドンで特定されたという。

感染者の大半には海外への渡航歴があり、今のところ国内で感染が広がったことや、この変異が重症化につながることを示す証拠は確認されていない。また、ワクチンの有効性への影響も出ていないと推測されている。

PHEによれば、インフルエンザと新型コロナウイルスのゲノム配列情報などが登録されているデータベースを運用するGISAID(Global initiative on sharing all influenza data)には6月以降、「B.1.621」に関する報告が増加している。

GISAIDのデータベースには20日までに、日本と以下の各国を含む23カ国から、「B.1.621」が検出されたことを示すデータが入力されている。感染は明らかに、国際的な広がりをみせている。

コロンビア、米国、スペイン、メキシコ、オランダ、アルバ、エクアドル、イタリア、ポルトガル、英国(報告件数の多い順)

変異を続けるウイルス


ウイルスが時間の経過とともに変異するのは自然なことであり、毎年異なるインフルエンザワクチンが使用されているのは、そのためだ。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を引き起こすこのウイルス(SARS-CoV-2)も例外ではない。中国・武漢で最初に確認されたウイルスとは異なる変異株が、すでにいくつも確認されている。

ウイルスは変異によって、感染力を強め、致死率を高め、ワクチンへの耐性を持つようになる場合がある。新型コロナウイルスの「デルタ株」も、そうした変異をしたもののひとつだ。米国でも現在、昨年12月に英国で確認され、優勢となっていた「アルファ株」に代わり、最も多くの感染者を出すようになっているのはデルタ株だ。
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編集=木内涼子

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