接種証明の「グリーンパス」、イスラエルやイタリアでも

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イスラエル政府は今週、新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種済みであることなどを示す証明書「グリーンパス」を再び導入する方針だ。飲食店やジムなど屋内施設を利用する際に提示を義務づける。グリーンパスは欧州でもフランスに続きイタリアが導入するなど、デルタ株などによる感染拡大を防ぐ対策の一つとして採用する国が増えている。

グリーンパスは、ワクチン接種などによって新型コロナに対する免疫をもっていることや、最近の検査で陰性だったことなどを示す書類。イスラエルは以前にもグリーンパスを含む行動規制を敷いていたが、感染者や死者が大幅に減り、ワクチンの接種も進んだため緩和していた。

しかしイスラエルでも先月から新規感染者が再び増え始め、政府は屋内でのマスク着用義務づけや外国からの入国制限などを再開。ナフタリ・ベネット首相は22日、本格的な感染拡大の波を防ぐべく今月からグリーンパスも再導入する方針を明らかにした。

イタリアのマリオ・ドラギ首相も同日、美術館や映画館、プール、ジム、飲食店など屋内施設に入る際に、来月初めからグリーンパスの提示を義務づけると発表した。これによって、今すぐワクチン接種を受けようとする国民が増えることに期待を示す一方、接種が進まなければ「再びすべてを閉鎖せざるを得なくなる」と危機感をあらわにした。

欧州では今月これに先立って、フランスが飲食店やモール、美術館などの訪問者にワクチン接種の証明書を求めると発表。するとそれから1日足らずで接種予約の申し込みが100万人を超え、期待どおりの反応がみられていた。

同様の制度はここ数週間、欧州各国で導入されており、オーストリアやキプロス、デンマーク、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルクなども屋内飲食時のワクチンパス提示を義務づけている。

新型コロナはここへきて、以前の変異株より感染力の強いデルタ株を中心に世界各国で感染が拡大。米疾病対策センター(CDC)は今月、米国内の新規感染者のうち83%がデルタ株によるものだったと上院の公聴会で報告している。

米国ではニューヨーク州など一部の州がモバイルアプリのグリーンパスを提供し、業者が任意で利用できるようにしている。一方で、自治体や業者が接種済みの証明を商品やサービスを受ける条件にすることを、法律で禁じている州もある。

編集=江戸伸禎

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