ファイザーの21日の発表によると、南アフリカの官民パートナーシップであるバイオヴァック研究所と協力し、2022年からアフリカ連合(AU)向けに年1億回分超を生産・供給する計画。ワクチンの成分は欧州から輸入し、フィル・アンド・フィニッシュ(充填・最終製剤化)と呼ばれる最終工程をバイオヴァックが担う。
ファイザーは「誰でも、どこにいる人でもワクチンを公平に利用できるようにすること」を目標に掲げており、アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は今回の提携をそれに向けた措置と位置づけている。
バイオヴァックのモレーナ・マクホアナCEOは、この協力によって、アフリカ大陸などのアクセスのしづらいコミュニティーに暮らす人々にワクチンを届けられるようになると述べ、「重要な前進」だと高く評価した。
アフリカのワクチン接種ペースはほかの地域に比べ大幅に遅れている。アフリカ疾病対策センターによると、2回接種を受けた人の割合は1.5%ほどにとどまっており、2021年末までの目標である20%の達成は難しくなっている。アフリカに新型コロナワクチンの生産設備がないことが主な原因だ。
アフリカはこれまで、世界保健機関(WHO)が支援するワクチン共同購入・分配の国際枠組み「COVAX(コヴァックス)」に頼ってきたが、今年2月以降に受け取ったのは2億回分と計画を大幅に下回る。最大の供給元であるインドワクチン大手、セラム・インスティテュート・オブ・インディアからの供給に支障が出ていることなどが背景にある。
アフリカでは感染力が強い変異株のデルタ株によって感染が急拡大中。今月は16カ国で1週間の感染者が25万人を超え、「週ベースで過去最悪の感染爆発」を記録している。