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2021.07.31 07:30

中国の旅行予約最大手Trip.comが狙う「広告ビジネス」の覇権

エクスペディアやブッキング・ホールディングスなどの旅行関連企業の株価は、新型コロナウイルスの感染が再拡大している中で、ここ1カ月ほどの間、まちまちの値動きとなっている。

中国最大のオンライン旅行予約会社のTrip.comの株価は、中国がパンデミックから比較的隔離されているにもかかわらず、7月23日の米国市場で13カ月ぶりの安値に下落した。 しかし、デルタ株が広まっても、国内事業の拡大を目指すTrip.comの新たな取り組みには、さほど影響はない模様だ。

かつて「Ctrip」の名称で知られたTrip.comは1999年に設立され、国有企業によって支配されていた旅行業界に変革をもたらした。同社は、ホテルの予約を皮切りに、航空券や法人向け旅行サービス、鉄道チケットの予約も手がける総合旅行プラットホームに成長した。わずか25万ドルの資金で始動したTrip.comの時価総額は23日時点で、170億ドル(約1兆8700億円)に達している。

昨年、同社の会長であるジェームズ・リャンは、ライブストリーミングで旅行商品を紹介する取り組みを開始し、会社の創業記念日には「Boss Live」と呼ばれる自身の番組の司会を務めた。Trip.comは、2025年までにコンテンツ関連の広告収入で年間10億ドル以上を生み出すことを目標としている。

同社のCEOのジェーン・サンは今月初めに上海の本社で行われたインタビューで、広告ビジネスへの野心を語った。「中国の旅行関連の広告市場は現在、900億元から1400億元(約216億ドル)の規模であり、5年後にはさらに成長する。当社はコンテンツ戦略を発展させ、数年後に市場の3~5%を獲得することを目指す」

サンによるとTrip.com の顧客の購買力は非常に高く、同社のウェブサイト上で旅行商品を告知すれば、コンバージョン率は非常に高いという。

ホテルなどに顧客を誘導する広告事業


証券会社のジェフリーズは、同社の新たな取り組みを評価し、「Trip.com は、単なる購買プラットフォームから旅行のハブに変化し、ホテルや旅行業界のパートナー企業の顧客エンゲージメントを支援していく」と、先日のレポートで指摘した。ジェフリーズはTrip.comの株式を「買い」指標とし、目標株価を現在の約27ドルを大きく上回る47ドルにした。

Trip.comの中国以外での予約は、引き続きパンデミックの影響を受けており、昨年の売上は以前のほぼ半分の約28億ドルに減少し、今年第1四半期の売上も前年同期比13%減の6億2800万ドルだった。しかし、同社は今年4月の香港市場でのセカンダリ上場で11億ドルを調達し、最終的な回復への自信を示している。
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編集=上田裕資

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