ビジネス

2021.07.31

中国の旅行予約最大手Trip.comが狙う「広告ビジネス」の覇権


急速に変化する中国のEコマースに慣れ親しんだTrip.comの顧客は、新しいアイデアに対してオープンだ。さらに、Trip.comには3億人の登録ユーザーが居るが、そのうち3分の1は海外からのユーザーで、毎日約1000万人がサイトを利用している。Trip.comのコンテンツは1日あたり100万回クリックされていると、サンは話した。

昨年のリャン会長のライブストリーミング番組「Boss Live」の再生回数は、1年間で2億回に達し、50億元以上の旅行予約につながったという。

Trip.comは広告の売上を開示していないが、広告や金融サービスを含む「その他」カテゴリの昨年の売上は、2億9600万ドルに達していた。同社は4月に「スターハブ」と呼ばれるマーケティングのハブを立ち上げ、インターコンチネンタルやマリオットを含む100のパートナー企業に、コンテンツを通じて顧客に訴求するツールを提供している。

サンによると、中国ではウイルスの抑え込みがうまくいったこともあって、このプロモーションは成功を収めているという。中国政府は先日、第2四半期のGDPが前年同期比で7.9%増加したと発表しており、Trip.comの夏の旅行予約状況も順調という。また、サン自身も5月初旬の長期休暇で中国西部の青海省を訪れた。

2002年にTrip.comに入社したサンは、2006年にCFOとなり、2016年にCEOに昇格した。同社には4人の共同創業者がおり、米国に上場する上海のホテルチェーンHuazhuの会長のJi Qiや、セコイア・キャピタル・チャイナを率いるニール・シェン、そして会長のリャンと副会長のFan Minが居る。さらに同社の11%を保有するバイドゥ創業者のロビン・リーも取締役を務めている。

サンは今後の投資対象として、パンデミックの影響に苦しむホテルチェーンを候補としているが、当面の間は海外のホテルに投資することは考えていないという。パンデミックによる不確実性に直面する中で、彼女は国内での様々な業務に忙殺されている。

編集=上田裕資

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