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さらに、サンドバーグは一度ならず二度も怒鳴ったことがあるという“衝撃の事実”も明らかにされた。ある時は従業員を泣かせさえしたという。

米国で行われたあるアンケート調査では、過去1年間で上司が怒るところを見た従業員は60%に上ることが分かっている。ならば、サンドバーグがフェイスブックでの13年間で社員を2度怒鳴りつけたことを特筆すべき理由は何か? それは、サンドバーグが女性であり、女性は怒鳴ってはいけないとされているからだ。

興味深いことに、書籍では他の上級役員(いずれも男性)が従業員に怒鳴ったというエピソードはなかった。こうした男性役員が従業員に対し声を荒げたことが一度もなかったとは考えにくい。おそらく、男性役員が怒りを爆発させた場面はあまり記憶に残らず、表面化しなかったのだろう。


米上院情報委員会の公聴会に出席したサンドバーグ(2018年9月撮影、Getty Images)

女性の怒りが記憶に残る理由


男性と怒りの関係は人の心に深く刻まれていて、5歳の子どもさえも既に怒りを男性と結び付けている。

学術誌フロンティアズ・イン・サイコロジー(Frontiers in Psychology)に掲載された研究結果では、子どもと成人に異なる表情の男女の写真を見せたところ、子どもも成人も、怒った顔の女性の写真を誤って男性と分類する傾向にあり、怒った女性の顔を解釈・処理して分類するのにかかる時間も長かった。怒りをあらわにする女性リーダーが記憶に残りがちな理由は、この追加の処理が必要であることから説明できる。

従業員に対して怒鳴ることは、その人が誰であれ職場での最適なコミュニケーション方法とは言えない。男性ではなく女性のこうした行動に注目してしまうと、女性リーダーはこうした行動に対する罰を与えられやすくなる。組織行動学ジャーナル(Journal of Organizational Behavior)で発表された論文では、女性リーダーが怒りを表現するとリーダーとしての評価が下がることが示されている。一方で男性が職場で怒りを表現しても、評価は下がらない。

女性リーダーによる自己主張はどのようなものであれ注意を引き、悪く解釈されがちだ。率直だったり主張が強かったりする女性リーダーは、同じように振る舞う男性よりも悪い評価を受けがちだ。女性が企業の経営トップに上り詰める上では率直さや自己主張が必要になる場合が多く、これにより女性は板挟み状態になる。

サンドバーグが批判を受けるべきではないというわけではない。フェイスブックはここ数年で、誤情報の拡散やユーザー情報の不正取得など、深刻な影響をもたらした問題に関与してきた。新著では、ザッカーバーグとサンドバーグの不手際がこうした問題をさらに悪化させた可能性があるという正当な主張も展開している。しかし、リーダーの評価に使用するべきなのは、こうしたビジネス上の決断であって、その人の性別と結び付いた資質ではない。

編集=遠藤宗生

シェリル・サンドバーグフェイスブック

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