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大坂の魅力は“デジタル言語話者”


そのような彼女の行動理念に、いまではより多くの企業が賛同しはじめている。

また、大坂の政治的姿勢(人種差別主義者や警官の非道な暴力に対する抗議)や、最近のメンタルヘルスに関する実直な発信(2018年の全米オープン初優勝以降、うつに悩まされていたこと)が、スポーツの枠を超えて広く報道されるにつれ、彼女の知名度はますます高まってもいる。

大坂が、うつを告白し全仏オープンを危険した報道は、フランスのスポーツ専門誌『レキップ』の電子版で800以上のコメントを読者から集め、米『ニューヨーク・タイムズ』紙は一面にストレートニュースを掲載した。

これらはいずれも、テニス報道としてはレアケースだという。

大坂は、恐らくはテニス界ではセリーナ・ウィリアムズだけが到達した、ある種の文化的影響力を獲得している。

ただし、ウィリアムズの場合は大坂と異なり、そのピークは彼女のキャリアの後半に訪れ、しかも影響力はアメリカに集中していた。

大坂が有する若さの魅力は、単に、まだ先の長い彼女のキャリアにともない、パートナーシップも長く続くだろうということにとどまらない。

彼女の魅力は、多くのマーケターが開拓を切望しながらいまだ理解できずにいる世代の言語を、自在に解する点にある。

大坂は、かつて自身を「インターネットの子」と称した“デジタル言語話者”だ。彼女の興味や文化的影響力は、企業が開拓したいと望む、“ジェネレーションZ”の層と合致している。

そしておそらく最も重要なのは、彼女自身のユニークで自然体な姿にある。

彼女のペルソナは、より洗練され適格性を増しているが、それでも彼女のファンの多くは、記者会見やその他のインタビュー映像に映し出される、彼女のぎこちなさや内気さに共感を抱いている。

多くのメガスターは近づきがたい雰囲気をまとうが、人々は、大坂のことなら理解できるように感じるだろう。特にZ世代は大坂なおみに自己を投影している。

彼女はいたるところにいて、なおかつ、身近な存在なのだ。


ベン・ローゼンバーグ◎2011年から米『ニューヨーク・タイムズ』紙にテニス記事を寄稿するワシントンD.C.出身のライター。米『Racquet Magazine』の編集主任で、BBCワールドニュースなど、各国のネットワークにも出演する。

文=ベン・ローゼンバーグ 翻訳=内田暁

大坂なおみブランディング

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