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2021.07.28

チームを導く起業家が持つ、「人を好きになる力」|GO 三浦崇宏 #1

GO 代表取締役 三浦崇宏(提供:DIMENSION NOTE)


例えば、暑い日に道を歩いていて「エアコンを持ち運べたらいいのに」と思ったことがきっかけで、持ち歩き扇風機を作って大金持ちになった起業家がいたとします。この人に「原体験は何ですか?」と聞いても、「道を歩いていたら、めっちゃ暑かったんですよね」と答えるでしょう。でも暑いのはみんな同じですよね(笑)。

もっと極端な例を挙げると、ニュートンも「リンゴが落ちただけ」で万有引力を発見しました。

これは何を言っているかというと、原体験そのものの質よりも「日常の何かを原体験だと発見できる欲望」「全ての感覚を自分の人生にとって大事だと思う感性」のほうが大切だということです。

逆に言うと、原体験をみんなが欲しがるのは「諦めたいから」なんです。例えば「エジソンは子供の頃こんな経験をしたから偉大なんだ」「自分は普通の家庭に生まれたからダメなんだ」とか。

原体験の有無ではなく、何かを勝手に「原体験として発見できる視点」のほうが大事だと思います。


GO 代表取締役 三浦崇宏(提供:DIMENSION NOTE)

──ではこれから起業を志す人たちも、原体験を必ずしも求める必要はない、と。

結果論として何か複雑な過去の原体験をベースに頑張る人が多いのはわかります。でもそれは起業家としての成否とあんまり関係ないんじゃないかなと思います。

私も貧乏で、割と複雑な実家で生まれ育ちましたが、そんなことがなくともこういう人間になってたと思います。

自分の原体験は何だろうと探している暇があったら、一つでも多くビジネスアイデアを考えたほうが良いし、一件でも多く営業に行った方が良い。

みんな「自分探しの檻」に閉じ込められちゃってるんです。そんなものはどうでもいい。むしろ全ての出来事から何かを勝手に発見し、自分ごととして捉えて行動する力のほうが大事だと私は思います。


三浦崇宏(みうらたかひろ)◎The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector。2007年博報堂入社、マーケティング・PR・クリエイティブの3領域を経験、TBWA \HAKUHODOを経て2017年独立。「表現をつくるのではなく、現象を起こすのが仕事」が信条。Cannes Lions、PRアワードグランプリ、ACC TOKYO CREATIVITY AWORDS グランプリ/総務大臣賞など受賞多数。著書『言語化力(言葉にできれば人生は変わる)』(SBクリエイティブ)がAmazonのビジネス書ランキングで1位に。近著に『人脈なんてクソだ(変化の時代の生存戦略)』(ダイヤモンド社)。東京大学、早稲田大学、筑波大学などで講師実績あり。

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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