絶対協業しないとずっと宣言してきたホンダが、ついにアライアンスを検討していると耳にしても、驚かなかった。時間の問題だと思っていたからだ。三部敏宏社長は7月20日に「電動化を加速する」などと言って、他社との協業を積極的に考えていることを明らかにした。従来のホンダは、自前主義が強かったが、「ホンダ単独で進めるというのはリスクが高いと思っている」との考えを示した。
国内外の多くのカーメーカーが、既に電気自動車(EV)を発売しているにもかかわらず、ホンダは2020年にやっと「ホンダe」という自社初のEVを出した。同社が電動化の道を真剣に歩むのであれば、「他社と協業しなければ、自社だけでは開発や生産の能力が足りない」と、多くのメディアが伝えていた。
三部氏は今年4月に、2040年までに先進国で販売する全てのクルマを、EVか水素を燃料とする燃料電池車(FCV)などのゼロエミッション車とする方針を発表した。
三部敏宏代表取締役社長 photo:HONDA
ホンダは昨年、米ゼネラル・モーターズ(GM)と戦略提携を明らかにした。今年4月にはGMが開発したEVプラットフォームをベースに、ホンダ向けの2台のEV車を共同開発するとの具体策も公表した。
GMとの今後の関係について三部氏は、現在は「もう少し範囲を広げて包括的に話をしている最中」だとし、パワーユニットやプラットフォームも含めて一緒になってうまくいくものがあればという観点から「聖域なくすべての領域で話を進めている」と述べた。
実は、F1から徹底すると数ヶ月前に発表した理由も、電動化に真剣に進まなければならない現実から来ているそうだ。連勝を記録し、久しぶりにドライバーとマニュファクチュラーズの両ランキングの首位を保持しているF1レース。エンジン技術を得意としてきたホンダだが、連勝できる優れたエンジンを開発してきたエンジニアたちは健在で、電動車のパワーユニットでも「競争力は十分にある」と報道されている。
欧州連合(EU)が14日に公表した政策提言では、2035年までに内燃エンジン車の新車販売禁止が打ち出された。三部社長は「いずれそのような形になっていく」と想定していたとし、驚きはないと述べた。