しかし、米連邦取引委員会(FTC)は、フェイスブックが単に巨大であるだけでなく、「巨大な独占企業だ」ということを証明しようとしたところ、それに失敗してしまった。
ワシントン連邦地裁の判事は6月28日、FTCがフェイスブックを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した裁判で、FTCの主張を棄却した。
この訴訟は、数年に渡りフェイスブックに厳しい目が向けられた後、政府が本格的に彼らを懲らしめるための動きの一貫と見られていた。
FTCはこの訴訟で、「ある数字」を根拠として持ち出していた。裁判資料によると、FTCは、政府が「パーソナル・ソーシャル・ネットワーキング」と定義する市場の「60%以上」をフェイスブックが占めていると推定している。
しかし、FTCはこの60%という数字をどのように導き出したのか、またそれがユーザー数なのか、収益なのか、それとも他の何かなのかを明らかにしていない。
さらに、FTCと政府が主張する「パーソナル・ソーシャル・ネットワーキング」が何を指すのかも不明だ。この言葉は、理論的にはフェイスブックと、リンクトインのようなプロフェッショナルネットワークを区別するためのものだ。
フェイスブックを、大手の競合があまり居ない別のカテゴリに分類することで、政府はフェイスブックが競争を阻害しているという彼らの主張を後押ししようとした。
しかし、今回の裁判を担当したオバマ元大統領が任命したジェームズ・E・ボアスバーグ連邦判事は、規制当局がフェイスブックの独占行為を立証するのは、伝統的企業の独占の立証よりも困難だと述べている。
フェイスブックのようなサイトは、「無料で使用することが可能」で、FTCが主張する「パーソナル・ソーシャル・ネットワーク」サービスを構成するものの正確な範囲(アプリやサイトのどの機能がその定義に含まれるか)が、「ほとんど明確ではない」とボアスバーグは指摘した。
そして、規制当局の主張には「必要なディテールが含まれていない」と、ボアスバーグ判事は結論づけた。「FTCは、フェイスブックの市場シェアを算出する上で使用した指標や方法を明確に示すことができていない。彼らの漠然とした60%以上という主張は、推測に基づくものだ」とボアスバーグは判決文に書いた。