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2021.07.26

フェイスブックの独禁法違反を立証できない「決定的理由」

フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ(Getty Images)


「FTC側は、フェイスブックの市場支配力をどのように証明するかに確信が持てず、相手の反応を探ろうとしたのかもしれない」と、司法省反トラスト局の元局長であるダグ・メラメドは述べた。

「もうひとつ考えられるのは、FTCの姿勢があまりにも杜撰だったということだ。彼らは、十分な根拠を示さずに60%という数字を持ち出すことが、どれほど不適切なことかを考えなかったのかもしれない」と、メラメドは語った。

今回の訴訟の棄却は、FTCにとって思わぬ敗北となった。トランプ前大統領が任命したFTCの前委員長のジョセフ・J・シモンズは、この裁判をキャリアのハイライトにしたがっていたと報道されている(シモンズはこの記事へのコメントを拒否した)。

独占の立証には「70%以上」が必要


しかし、仮にFTCが60%という数字の根拠をもっと明確に説明していたとしても、それだけでは十分ではなかっただろう。一般的に、反トラスト法の訴訟は、被告が市場の70%以上を支配していることを当局が証明した場合に認められている。

例えば、マイクロソフトに対する反トラスト訴訟では、規制当局はマイクロソフトが市場の80〜85%を支配していると試算していた。一体なぜ、FTCがフェイスブックを相手どった裁判で、彼らの支配力をもっと大きく見積もるための努力を行わなかったのかは不明だ。

FTCは、まだ別の攻撃に打って出ることが可能で、判決から29日以内に再び訴状を提出できる。しかし、今回の判事の判断は、フェイスブックを法廷で追及することが予想以上に困難であることを明確に示している。

2008〜2009年にFTCの委員長を務めたジョージ・ワシントン大学のウィリアム・コバシック教授は、筆者の取材に、「私の直感では、FTCはこれを乗り切って次の訴訟段階に進むことができると考えている」と述べた。

「しかし、判事はかなり明確に、『私が判事でいる限り、思い通りにはさせない』と述べている。しかもこの判事は、共和党が任命した人物ではないのだ」と、コバシック教授は話した。

編集=上田裕資

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