新型コロナ巡る英国の「賭け」が世界の脅威になる理由

英国のボリス・ジョンソン首相(Getty Images)


体内で作られたウイルスの「コピー」は、またそれぞれに複製を繰り返し、その過程で何かを間違う。そのエラーが、新たな変異株になる。変異したウイルスは、ワクチン、または過去の感染によって獲得された免疫に勝る力を持つようになっているかもしれない。ワクチンが効かない変異株が生まれる可能性があるということだ。

ワクチン以外の対策も重要


こうした中で良いニュースといえるのは、私たちが完全に無力ではないということだ。適切な手段を講じれば、私たちは新型コロナウイルスを封じ込め、ある程度は「元通りの通常」の生活と、経済活動を取り戻すことができるはずだ。

今のところ、ウイルスに対する私たちの防御の第1線は、ワクチンだ。だが、オーストラリアや中国、ニュージーランド、シンガポール、そして台湾などの各国・地域がこれまでに行ってきた対策の結果から示されているように、広範な検査と徹底的な接触者追跡、自主隔離の義務化は、確実な「第2の防衛ライン」となる。

こうした措置によって各国・地域の感染者数の増加を抑え、さらに国境での検疫を強化すれば、全体としての感染者数を抑制することにつながるだろう。また新たに感染が拡大し始めても、マスクの着用、ソーシャルディタンスの確保、都市封鎖といった措置を講じることで、感染地域の拡大を、素早く抑え込むことができるはずだ。

だが、残念ながら英国、そして米国はどちらも、効果的な第2の、そして第3の防衛ラインを張ることができなかった。両国では今後、ほぼワクチン以外に頼るものがない状況が続くことになる。

編集=木内涼子

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