日本の日焼け止めは国際的に大丈夫? 海のために考えた選択を

Pattarisara Suvichanarakul / EyeEm


オキシベンゾン、オクチノキサートが珊瑚に有害であり、珊瑚が死んでいくという実証実験は、2008年4月のイタリア人学者Roberto Danovaroらの研究が「Environ Health Perspect」に掲載された論文で発表された。日焼け止めを購入または使用する場合、この2つの成分が問題になる。

面倒なのは、この成分がアメリカ英語読みで、日本ではオクチノキサートが化粧品表示名称「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」となっている。日本の日焼け止めをはじめ、化粧下地やファンデーション、リップクリームなど至る所で使用されている。「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」が入った商品は、最近だとハワイ州も使用禁止、メキシコや欧州でも海辺に禁止の看板がたてられている。

紫外線を吸収するか、反射するか


日焼け止めの方法としては、紫外線吸収物質を使う方法と、反射させる方法がある。オキシベンゾン、オクチノキサートの2つは吸収剤という種類の成分だ。紫外線反射材という光を反射する成分は白い粉がベースで肌に降り注ぐ太陽光を物理的に反射する。主たる成分が酸化亜鉛と酸化チタンである。

亜鉛は昔の昔、江戸時代に白粉などとして使われて肌を白く清潔にすると流行したが、実は毒性があり、顔が「鉛毒」でやられ、改良に改良が重ねられてきた。油絵の具の白色に「ジンクホワイト」という名称があるが、亜鉛由来の本当に真っ白な粉が色味の主成分だ。

最近は日焼け止め効果を高めるために、これらの物質をナノ化(極小化)する技術がうまれ、ナノ粒子の酸化亜鉛や酸化チタンが化粧品に使われている。

しかし、この小さいサイズが問題なのだ。珊瑚と共生する褐虫藻(かっちゅうそう)を殺してしまい、珊瑚が生きられなくなり白化してしまう。最新の研究に耳を傾けるならば、日焼け止めはナノ化されていない酸化亜鉛と酸化チタンなら選んでもよく、環境先進地域のハワイやカリフォルニアでは、「non nano」表示がついており、これを目安に購入したい。


日焼け止めを選ぶ時に「non-nano」の表記があるか確認したい(筆者撮影)

珊瑚礁を守ることが大切なワケ


ひとつ大きな説明を忘れたかもしれない。珊瑚礁のエリアに行かなければ大丈夫じゃないか? 珊瑚礁は世界の海のごくわずかな場所にしか存在しかないから大丈夫じゃないか? と思う人もいるだろう。最後に多少数字で、説明したい。
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文=朝吹 大

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