日本の日焼け止めは国際的に大丈夫? 海のために考えた選択を

Pattarisara Suvichanarakul / EyeEm

夏だ!海だ!そんな季節がやってきた。海は人間にとって心休まる場所であり、わくわく元気にしてくれる場所である。

環境問題を専攻していた学生時代の4年間、私は海辺で過ごしていた。なんと幸せな暮らしだったかと思う。波の音で起こされ、浜辺を歩いたり、マウンテンバイクで松林を走り抜けたりしながら大学へ通った。昼休みは学食へ行くより海へ行って昼寝していた。

サーフィンのウェットスーツのまま学校にくる連中もたくさんいた。今考えると、豊かな、人間らしい時間が流れていたと思う。大学で経済やITの修学が重要なのも理解できるが、海洋国として海洋環境を学ぶ学生が増えてくれると、日本の環境保護の動きは世界をリードできるようになると真剣に思う。

日焼け止めが珊瑚死滅の原因に


さて、美容業界に話を戻そう。「環境と美容」の話は何度か取り上げてきた。環境を考えた経営方針の策定や、環境と共存する生き方は美の世界でも不可避である。

むしろ美容意識の高いお客様は流行に敏感であり、クチコミュニケーション能力が高く、いいものを見付けるのも早い。よって、環境や社会に悪なものは、どんどん非難や買い控えの対象となっていく。今回は夏の必需品、UV対策化粧品の最新事情をお伝えしたい。

最初にUV化粧品と環境の関係が広く知れ渡ったのは、おそらく2018年にパラオ共和国が世界で最初に“有害成分含む日焼け止め”を禁止する法案を制定した時ではないだろうか。小さい国だが、国をあげて特定の化粧品を禁止することは、それなりに社会的インパクトがあった。

遡ってその3年前の2015年に、「Archives of Environmental Contamination and Toxicology」という学術専門誌(こういうのばかり学生時代読んでいました。懐かしいです)で、現在一般的に使われている日焼け止めの主成分、オキシベンゾン、オクチノキサートが珊瑚の死滅の原因になっていると発表されたことがきっかけとなった。



パラオは日本と同じような丸が大きくついたグラフィックの国旗で、日本からみてオーストラリアのほうにある南洋諸島。20世紀後半に独立したので、意外と独立は新しい。僕が学生の頃は海洋学者がよく立ち寄る場所で有名だったが、まだアメリカの一部だった。

23区を一回り小さくしたほどしかない小さな南の島国で、国の財産は珊瑚礁。観光産業がメインで、珊瑚がないと見所が何もなくなってしまうのである。もちろんパラオだけでなく、珊瑚礁は世界の人類にとってもとても大切なのだ。
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文=朝吹 大

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