雇用主が、求人広告で特殊な専門用語を避けるべき4つの理由

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職務記述書には、その役割に欠かせない職責や活動、資格、スキルが明確にまとめられているのが理想だ。しかし残念なことに、常にそうとは限らない。

オーストラリアのグラフィックデザイン企業キャンバ(Canva)は先日、求人広告における業界用語の問題を調べるべく、複数の国や業界から約630万件の求人広告を分析した。その調査結果は驚くべきものだった。

調査からは、求人広告の38%に混乱を招くような用語や言い回しが含まれていた。その上位3つは「チームプレーヤー」「ダイナミック」「セルフスターター」だ。

求人広告でこうした流行用語を最も使いがちなのはどの業界だろう? それは情報技術(IT)、マーケティング、金融だ。おそらくあなたも、正しく言い当てられたのではないか?

企業の人材採用の時間を短縮するには、正確かつ人を引きつけるような職務記述書が必要だ。ここでは、求人広告で特殊な専門用語を避けたほうがよい理由をいくつか紹介する。

1. 不要な専門用語を使うことで応募者が混乱する


求人広告で特殊な専門用語を使うことに実質的なメリットはない。英慈善団体ビジネス・イン・ザ・コミュニティー(BITC)の調査からは、求職者が専門用語を理解できないため応募の障壁になることが分かった。特に16~24歳の年齢集団や外国人、不利な経歴を持つ人の層ではその傾向が強かった。

米求人情報提供企業ザラダーズ(TheLadders)の調査からは、応募者は求人情報が自分に合ったものかどうかを見極めるのに49~77秒かけていることが分かった。

人材採用担当者はこれを心に留め、応募者がその仕事の内容を短時間で理解できるように役割について説明する必要がある。より経験を積んだ候補者と比べて業界用語の理解が薄い新卒者にとっては、この段階では明確さがメリットとなる。

2. 読み手に信頼されない可能性がある


ニューヨーク大学の調査からは、人は専門用語が使用されているとその企業がうそをついていると考えることが示された。

この調査では、真実かどうかを判断する上で具体的な言葉遣いがどのような影響を与えるかを4つの実験を通して調べた結果、同じ内容の文章でも具体的な言葉で書かれていたときの方が、抽象的な言葉で書かれていたときよりも真実である可能性が高いと判断されていた。

アリストテレスは「良いスタイルは明確でなければならない。明確さは、現在の普通の言葉遣いを通して得られる」と述べている。会社に対する信頼を構築するため、理解しやすいシンプルな言葉を使うこと。
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翻訳・編集=出田静

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