「ステークホルダー資本主義」の実現
LTSEは、昨秋から企業を勧誘することが法的に認められている。最初に上場を申請したのがAsanaとTwilioだったのは偶然ではない。リースは個人でAsanaに出資しており、モスコビッツとローソンは個人でLTSEに出資しているのだ。リースによると、両CEOは審査プロセスには関与しなかったという。
「彼らが、私に対する誠意の証として時価総額と資産が数十億ドル規模の企業をリスクにさらすことを光栄に思う」とリースは述べた。
LTSEは非営利団体ではないが、リースにとってLTSEを通じたステークホルダー資本主義の実現は、より大きな戦いの一部なのだという。「文明に大きな変革をもたらさない限り、そう遠くない将来、世界は破滅的な結末を迎えるだろう」と彼は話す。
リースは、変化をもたらす大きな鍵はテック企業にあると考えている。「我々は、企業が上場後もイノベーション精神を維持できる財務インフラを構築している」と彼は語る。
しかし、彼の野心的な考えがLTSEの成功を困難にしている。まず、LTSEは事業を継続する上でリースに個人的な忠誠心を持たない企業も多く上場させ、ソフトウェアサービスを販売しなければならない。
それと同時に、LTSEは上場企業に影響力を行使し、彼らの戦略を変更させなければならない。リースが最初に思い描いたビジョン通りにLTSEを作り上げることができていれば、より簡単にそれを実現できたかもしれない。
さらに大きな疑問は、上場企業がLTSEの原則を遵守することで、社会や政治、気候における大惨事を回避するために必要な変化を起こすことができるかということだ。