AsanaとTwilioはいずれも既に株式を上場しているが、Asanaのダスティン・モスコヴィッツCEOとTwilioのジェフ・ローソンCEOは、LTSEの創設者で、「リーン・スタートアップ」の著者であるエリック・リース(Eric Ries)と以前から親しく、今回の決断に至ったという。
ワークプレイスソフトウェアを提供するAsanaの株価はこの1年で127%上昇し、時価総額は110億ドルに達している。また、クラウドコミュニケーションソフトウェアを提供するTwilioの株価もこの1年で68%上昇し、時価総額は640億ドル(約7兆円)に達している。
リースは、フォーブスとのインタビューでLTSEのビジョンや、今後より多くの企業が同市場に上場すると考える理由を述べた。
リースが10年前に思い描いたのは、投資家が5年から10年の長期志向で企業に投資する取引所だ。しかし、現在のLTSEは、彼の当初の想いとは異なる。その理由は、証券取引所として法的に機能させるためには、短期・長期にかかわらず上場する全ての株式の取引を円滑に行わなければならないことや、LTSEだけに上場を限定させたり、取引を制限できないことにある。
一方でLTSEにできるのは、持続的な成長と成功を実現するためにLTSEが掲げる5つの原則にコミットする企業を、FINRA(金融業規制機構)と並んで認定することだ。LTSEは、企業に株主をトラッキングするソフトウェアを提供し、投資家は投資先企業に身元を明かすかどうかを選択できる。
リースによると、上場企業はLTSEの原則を遵守するために、あらかじめ合意した測定可能な基準を提示しなければならないという。LTSEの原則には、ステークホルダーや長期戦略、取締役の報酬、取締役会の構成と監督義務、インベスターリレーションズに関する規定が含まれる。違反すると、証券詐欺と同等の罪に問われる。「世間に信じてもらえるよう、企業に約束をさせる方法だ」とリースは話す。
LTSE自体はソフトウェアビジネスを手掛ける。上場企業は、同社のソフトウェアを使って目標の達成状況や株主基盤を把握することができる。長期保有株主として身元を明かすことに合意した株主は、投資先企業に対してより大きな影響力を行使することが可能だという。