現地感を味わえる中華料理のフードコートが人気。「旅ロス」が後押し

池袋の「友誼食府」。雑居ビルのエレベーターを降りると、現地を思わせるフードコートの世界が広がる


友誼食府というフードコートの存在を、多くの若い日本の人たちに伝えるSNSでは、「ガチ中華が体験できる場所」として紹介されるケースが多い。確かに、店で働く女性たちは中国や台湾出身の人たちなので、海外旅行に行けない昨今、ちょっとした旅行気分を味わえるスポットとみなされているのだろう。

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立川や松戸にも出店している四川料理「香辣妹子」(シャンラーメイズ)のオーナー母娘

筆者がここで出会う日本の人たちは、海外留学体験のある学生や駐在経験のある若い社会人が多い気がするが、なかには髪の毛をピンクやブルーに染めたカップルや、ロリータファッションに身を包んだ茶髪の女子たちなど個性的な若者もいる。

この点について、友盛貿易の総務の中尾智一さんはこんな私見を話してくれた。

「日本の若い人たちが友誼食府に興味を持つのは、同じ世代に留学生や同期の社員として働く中国系の人たちが増えていることも関係があるのではないか。飲食店などのアルバイト先で知り合った彼らから日本の若者たちが刺激を受けている面もあるかもしれない」

近年の中国語圏のオーナーたちによる都内での出店ラッシュがもたらしている新しい食のシーンを、筆者は「東京ディープチャイナ」と名づけた。その背景には、日本に留学し、卒業後に東京で働く若い中国系の人たちが増えたことで、日本の客だけを相手にしなくても経営が成り立つ環境が生まれたことがある。調理人たちも彼らの口に合う料理を提供し始めたというのが、東京ディープチャイナが勢いを増している理由なのではないだろうか。

池袋から始まった中華フードコートは、今年1月中旬に大阪の日本橋、3月中旬に東京の立川、6月中旬に千葉の松戸、7月上旬に福岡の博多と、出店が続いている。

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今年3月に立川駅南口にオープンした友誼食府の立川店

実は、6月上旬、中国系の別のオーナーによる新たな中華フードコート「食府書苑」が、友誼食府と同じビルの2階にプレオープンした。近日中にさらに新たなオープンも噂されており、池袋はまさに東京ディープチャイナの中心地といえるだろう。

連載:東京ディープチャイナ
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文=中村正人 写真=佐藤憲一、山端拓哉

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