AIにおけるジェンダー・バイアスを減らす5つのステップ
Step 1: AIの開発に関わる女性を増やす
上記の通り、テクノロジー関連、特にAIの領域における女性の割合がかなり低い。ジェンダー・バイアスを減らすための第一歩としては、女性と女性の経験をAIと自動化システムの設計、開発、応用に関連するすべての段階で適切に統合されるのが良いだろう。テクノロジー企業におけるあらゆるの役職でより多くの女性を積極的に雇用することに加えて、AIを開発と活用する企業は、初期の時点からジェンダーの専門家からのアドバイスと、女性の意見やデータを積極的に活用するのも良いと考えられる。
Step 2: データの男女バランスを整える
次に、アルゴリズム、AI、自動化に情報を提供するデータは男女別に集計する。そうしなければ、女性が経験はこれらの技術ツールに情報を提供することができず、女性に対する既存のジェンダー・バイアスを内在化し続ける可能性がある。その際には、女性に関するデータであっても、内在するジェンダー・バイアスには気をつける必要はあるだろう。Step 3: AIを利用した仕組みを多様な人々によって検証する
言語処理の項目でも紹介した通り、ジェンダーニュートラルな仕組みを作るのにはどうしても手間が掛かる。AIと同義語のように利用されている「自動化」というフレーズから、全て機械が自動的に処理してくれるように感じるが、バイアスを取り除くには、複数の異なるバックグラウンドを持った人々による検証と、微調整が必要になってくる。Step 4: AIを活用してジェンダー問題に取り組む
そして、AIのジェンダー・バイアスを取り除く最も有効な方法の一つとして、実際にそのシステムを活用して、社会的な問題に取り組む。特に性差別が原因となるような問題の解決のために利用してみる。例えば、男女の賃金格差、仕事内容の違い、評価の違い、ネット上のいじめ、セクハラ、リーダー職における過小評価など、女性が実際に直面している課題に対処するために活用する。AIと自動化の力を活用して性別における格差をどれだけ埋める事が可能かにチャレンジしてみるプロジェクトを進めることで、そのプロセスを通じてAIが潜在的なジェンダー課題を学ぶことにもつながるだろう。
Step 5: よりダイバーシティーに対応した仕組みを作る
最後のステップとして、意外と盲点になりがちなエリアにも挑戦してみる。そう、性別は男性と女性だけではない。LGBTに代表される、ノンバイナリーな多様な価値観やライフスタイルへの理解も重要だ。これは、生身の人間だけではなく、AIを利用したシステムも今後学んでいく必要が出てくるだろう。男女が平等になった瞬間から、次はより多様な理解をテクノロジーにし始めてもらう必要が出てくるだろう。まとめ:テクノロジーにおいても多様性を
このような進歩にもかかわらず、AIやテクノロジー全体の多様性の欠如からくるより体系的な問題がある。まだまだエンジニアの大部分が男性だし、女性の経営者も少ない。データも偏りがちだし、何より作り出されたシステムがジェンダー問題解決の利用にはたどり着いていない。
テクノロジーにおける男女の格差が少なくなれば、バイアス問題に対する意識も高まるだろう。そうすれば、AIを取り巻く仕組みを包括的に受け入れることができるようになるはず。そして、テクノロジーは社会的課題の解決に利用されるべきことを考えれば、AIによって多様性が達成できる世の中の実現が我々技術者たちのゴールにもなってくると思う。
※この記事は、btraxのブログFreshtraxから転載・編集されたものです。
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