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小さな会社とお店に学ぶ「ビジネススキル」の磨き方

渡辺米穀店(岡崎市)のチラシ

愛知県岡崎市で創業100年を超える「渡辺米穀店」は悩んでいた。

売上の大半は工場給食や飲食店向けなど業務用であるものの、より収益性の高い個人宅向けの販売を強化したいが、思うようにいかない。チラシを手作りし、配達などの合間をぬって、近隣1000軒ほどにポスティングをしたが、一向に新規顧客の開拓につながらない──。

そこで、渡辺さんが岡崎ビジネスサポートセンター(通称、オカビズ)に相談に見えた。チラシのデザインについてアドバイスがほしいという依頼だった。

オカビズの特徴は、相談時間の1時間でじっくりと話を聞き、「その会社や商品ならではの魅力」を引き出すことだ。対話を通じてその会社や店、時には人のセールスポイントや強みを引き出し、浮き彫りにすることを何よりも重視している。

なぜなら、どんな会社にもセールスポイントがあるからだ。同業他社が存在する中で存続してきているのは、競合と比較して何か選ばれる理由があるということにほかならない。

「もっとアピールすればいいのに!」


私は渡辺米穀店の話を聞きながら、これはチラシのデザインの問題ではなく、お店の売りや強みが伝わっていないことが課題だと感じていた。そんな中、実際に見せてもらったチラシで気になる点があった。



「渡辺さん、例えば魚沼産コシヒカリとか、北海道産ゆめぴりかといったように、お米は産地と銘柄で値段が決まると聞いたことがあります。ところで、この『お米マイスターの極み 5500円/10キロ』ってなんですか? 他と比較して割高のようですが、産地も銘柄も書いてないですね」

すると渡辺さんは、これは“ブレンド米”なのだと言う。驚いた。一般的にブレンド米と聞けば「まずい米をごましている」というイメージがあり、コシヒカリなど有名銘柄の単一品種の方がニーズがある=高級だと思っていたからだ。

詳しく聞くと、業務用の世界では、飲食店向けなどに、求められる味わいを生み出すためにブレンドを行ってきたという。寿司屋であれば冷めても美味しいお米、中華料理店であれば炒めたときに離れのよいお米……といった具合だ。

渡辺さんは毎日2度、銘柄・ブレンド・水分量を変えて食べ比べ、ノートに記録。研究を重ね、ブレンド技術を磨いてきており、「好みの味わいを教えてくれれば、それに合わせて最適な米のブレンドを行って、その味わいを作り出せる」という。

「渡辺さん、それめちゃくちゃすごいじゃないですか! もっとアピールすればいいのに!」

このお店ならではの強みが見つかった瞬間だった。

文・写真=秋元祥治

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