新規株式公開(IPO)の公募・売り出し価格は16〜18ドルに設定した仮条件の上限18ドルとなり、ブレンドはこの日のIPOを通じて3億6000万ドル(約390億円)を調達した。IPOはゴールドマン・サックス、アレン・アンド・カンパニー、ウェルズ・ファーゴが主導した。
サンフランシスコに本社を置くブレンドは、イランからの移民でスタンフォード大学卒業のガムサーリらによって2012年に設立された。開発したクラウドベースのプラットフォームは、ウェルズ・ファーゴやUSバンクなど住宅ローン大手を含め、米国の金融企業上位100社のうち31社が採用している。
ガムサーリはフォーブスの取材に、非公開企業として非常にうまく経営できていたので、2年前の時点では上場にはあまり意味がないと考えていたと明かしたうえで、IPOを決めたのは自社が「非常に複雑で規制が多い業界」にかかわっていることなどを考慮したためと説明した。
ブレンドは2019年以降、住宅所有者向けの保険や住宅担保ローン、自動車ローンといった商品も提供。2020年に同社のソフトウェアを用いて決済された住宅ローンや消費者ローンは計1兆4000億ドル(約153兆円)と、前年比3倍近くに増えている。
ガムサーリは、ブレンドの株価が上場後に急伸し、報酬契約で定められている成果連動の報酬をすべて手に入れれば、フォーブスの試算で上述の額を得ることになる。ブレンドの取締役会はガムサーリに、1株あたりの権利行使価格2.86ドルで7820万株分のストックオプションを与えている。
ブレンドによると、2020年の売上高は9600万ドル(約110億円)、最終損益は7500万ドル(約82億円)の赤字で、前年の売上高5100万ドル(約55億円)、最終損益8100万ドル(約89億円)の赤字から改善傾向にある。従業員数はコロナ禍前の425人から今年750人に増えている。
ガムサーリは「10年後、金融は完全にデジタル化し、リアルタイムでプロアクティブ(先見的に)動くものになる」と予想し、ブレンドは世界的な大企業になっているだろうと今後の成長への意気込みを語った。