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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

photographs by Tsukuru Asada

ブランド、製品、顧客の期待、という3つをひとつに結びつけることが、企業にとって必要。そう書いたのは、2021年に翻訳が出た「デザインはどのように世界をつくるのか」(フィルムアート社)の著者、スコット・バークンだ。

世の自動車メーカーは、電気自動車(EV)を送り出したとき、まさにそのとおりのことをした。

現在のEVの流れの先駆けが、BMWの「i3」だとしたら、14年に本格的なEVであるこのクルマを発表した際、従来とまったく異なるコンセプトのスタイリングで、新しさが強調されたのが印象的だった。それに対して、EVが多く発表されるようになった昨今、ひとつのトレンドを代表しているともいえるものを、ここで紹介する。

20年9月に日本導入されたフランス製のピュアEVプジョー「e-2008」の特徴は、見た目がほぼ、ガソリンエンジン搭載の姉妹車「2008」と変わらないことである。

「同等のデザイン、同等のスペース、同等の装備を提供し、お客様の好みや、ライフスタイルに合わせて選択可能」にしたとプジョー。つまり、EVはもはや特別な存在でないというのだ。

じっさいにドライブすると、プジョーの狙いがよくわかる。1.2リッターガソリンエンジン搭載の2008に対して、例えばバッテリーのぶんボディが重いとか、カーブを曲がるときに外側に出ていく傾向があるとか、そういう欠点は何もない。

さらなる長所もある。出足が軽快で、高速道路などでの追い越しは俊敏。走行中の室内は静粛性が高いのも特筆に値する点だ。スムーズに走り、足まわりの設定もしなやかで、乗り味が期待以上によい。優れた技術に裏打ちされた製品は、使用者が無理に慣れるものではない。自然となじむもの。e-2008も、気がついたら手放せないという存在になる可能性大である。



パワーオブチョイスという電動化への計画が進行中


電動化において、プジョーで注目すべきは、Group PSA全体が採用している「パワーオブチョイス」戦略。純ガソリンエンジン、純ディーゼルエンジン、PHEV、BEV、FCV(水素燃料電池車でいまは商用車のみ)をひっくるめて、燃料規制とCO2排出量削減をはかっていく、というものだ。高価なEVを量産しても、買ってもらえないと意味がない、とプジョー。

本社でCEOを務めていたジャン=フィリップ・アンパラト(現アルファロメオCEO)は「あらゆる選択肢をプジョーは用意し、国や地域の規制に応じて最も都合のよいパワートレインを選んで決めてもらえばよい」というニュアンスの発言をしてきた。無理なく段階的に製品内容を変えていき、2025年にはすべての商品の電動化(PHEV、BEV、FCV)を完了させるのがグループの計画だそうだ。フランスでも時代は着々と変わりつつある。



ボディ外寸 全長×全幅×全高=4305mm×1770mm×1550mm
ドライブトレイン 電気モーター 前輪駆動
出力 最高出力100kW、最大トルク260Nm
一充電走行距離 385km(JC08)
価格 4700000円
問い合わせ https://web.peugeot.co.jp/

text by Fumio Ogawa

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