ビジネス

2021.09.20 11:00

コクヨもミツカンも資生堂も。大企業が導入する「3つのD2C」モデル

顧客を巻き込む戦略のKOKUYO/「THINK OF THINGS」WEBサイトより

近年、ビジネスのトレンドとなっているD2C。アメリカを中心に始まったこのムーブメントは、日本国内でも大きな注目を集め始めている。そして、現在ではスタートアップだけではなく、多くの大企業もその取り組みを開始し始めた。

D2C(Direct to Consumer)とは


その名前の通り「自ら企画、製造した商品をどこの店舗にも介すことなく販売するビジネスモデルのこと」である。同じような形態であるSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)と違うのは、「店舗を持たず自社運営のECサイト上でのみ販売している点」だ。

中間業者を極力省くことで工場から店舗までのよりシンプルなサプライチェーンを実現したSPAをベースに、店舗を運営する際にかかる費用も削減することで、質の高い商品を更にリーズナブルな値段で売ることが出来る。EC版SPA、オンラインSPAとも称されるこのビジネスモデルをベースにするスタートアップが急激に増えてきている。

D2Cブランドが既存ブランドを凌駕し始めている


有名な事例として、創業4年程度のD2C寝具ブランドCasperが、3300もの店舗を持つアメリカ最大手の寝具マットレスメーカーMatress Firmを追い抜いた。

Casperは、Mattress Firmが長年抱えてきた購買体験の欠陥をテクノロジーで解決し、共感を生む世界観を構築することで急速にそのシェアを奪っていき、最終的には破産まで追い込んだ。

キャスパーのホームページ
CasperのHP

これは伝統的な販売ビジネスの崩壊を意味し、長い小売歴史の変革期であることを表している。

D2Cブランドと聞くとスタートアップ企業のイメージが強いが、最近では大企業のなかでもD2C的な取り組みをするところが増えてきている。この記事では大企業がD2Cをどのように取り入れることができるのか考えてみたい。

D2Cブランドがアップデートしたこと


D2Cブランドとは、単なる直販を行うブランドではなく、“デジタルを駆使して、直接顧客にプロダクトと共に純度の高い体験を提供する、メディア機能を持ったブランド”のことである。

SNSなどのオンラインチャネルを通じて顧客と直接繋がり密なコミュニケーションをとることで、データを集め、それらを分析し、常にユーザーにとって心地いいブランドへアップデートを重ねていく。

また、D2Cブランドの多くは、高品質で充実したコンテンツを雑誌やポッドキャストなど、ユーザーにとって有益な情報配信するコンテンツマーケティングの概念と非常に近い取り組みを通じ、ファンを獲得している。

プロダクトブランドというよりは「ライフスタイルブランド」と言えるだろう。

ファンと密接にコネクトするのがD2Cブランド


D2Cブランドが「伝統的なブランドと明確に違うことは、ブランドと顧客が心理的にコネクトしている点」だ。

ブランドと顧客の繋がり方は「お客様からファンに変わっていく」ものであり、さらに言うと、売り手と買い手を区別せず、顧客はブランドをともに育て上げる仲間(コミュニティ)となっていく。

しかし、このようなデープな顧客との信頼関係は、規模が小さいが故に成立しているケースが多い。では規模が大きい企業ではどうしたらいいのか。
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文=btrax staff

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