・P&G: Walker & Company Brand
世界的な消費財メーカーであるP&Gが買収した [Walker & Company Brand]は、有色人種向けに健康および美容製品を提供するブランドを保有する企業である。これによりP&Gは、有色人種というセグメントに特化した知見を持つチームを手に入れ、自社の商品ラインナップを充実させている。また多文化共生社会に共鳴している企業という評判も得ることで、ブランドに対する高いロイヤリティを手に入れることができた。
BevelのWEBサイトより
3. シフト型
今まで築き上げてきた自らの事業を2Cモデルにシフトしていく方法。いきなりビジネスモデルを全てを変えるのは、従来の販売モデルを大改革しなければならなため、時間と労力、またリスクが高い。
その解決策として、一部のチャネルを試験的にD2Cモデルへ展開することにより、比較的手軽にチャネル検証を行うことができる。
その結果を元に、もし主力の事業をD2Cにシフトすることができれば、利益構造から変えることができる。シフト型は、ブランドシステムが最適化されるインパクトの大きい方法だ。
・NIKE: SNKRS
NIKEが運営するキュレーション型のスニーカー専用ECサイト [SNKRS]は、デザイン誕生秘話やスニーカーの販売情報といったコンテンツに加え、欲しいモデルを見逃さないための通知機能や人気モデルの発売時にはアプリから抽選ができる。また、インスタグラムのストーリーのような独自機能やファンが熱狂するゲーム機能が組み込まれており、スニーカー愛好家のコミュニティーになっている。
NIKE SNKRS
・Pepsi: PantryShop.com
アメリカの食品・飲料水メーカーであるPepsiが運営する、時間帯や活動を中心に構成された食品をセットで購入できる直販サイト [PantryShop.com]は、新型コロナによるステイホーム向けに「親和性研究に基づいてキュレーション」されている。Eコマースチームによってゼロから構築された機能を活用して、30日以内に完全に社内で開発されたスピーディーな取り組みだ。
Pantry ShopのHP
大企業が「顧客と向き合う姿勢」を改めて考えるマインドセットが第一歩
大企業がD2Cモデルの取り入れている方法を3つに分類したが、必要に応じて掛け合わせで取り組んでいる企業が多くみられた。自社に適した方法を見極めて取り組んでいく必要がある。
そのためにはまず自社理解が重要である。自社が今すでに持っているアセットを知り、現状を把握した上で、目指すべきブランド像を明らかにし、それを実現するための適切な選択をするべきだ。
米国ではすでにD2C企業が多数登場するあまり、従来のSPAモデル(H&MやZARAのように卸売りをせず、自社製品を自前の小売店で販売する)企業同士の低価格競争と同じ構図になりつつある。
日本では未だプレイヤーの数は比較的少ないが米国同様、数年以内にD2Cが当たり前の時代になっていくことが考えられる。
今までD2C的な取り組みをしていなかった企業も、変化する市場に合わせ、オンラインとオフライン双方のチャネルを活用し、ブランドを共創していく姿勢や仕組みを持つことが求められているのではないだろうか。
※この記事は、btraxのブログFreshtraxから転載・編集されたものです。
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