大企業がD2Cモデルを取り入れるための3つの手法
様々な大企業のD2C活動をリサーチしたところ、大きく3つの型があると考える。ここからは、その3つの型について、大企業のD2CモデルやD2C的な要素を取り入れた活動やそのメリットを中心に、事例を取り入れながら紹介したい。
1. 新規立ち上げ型
大企業では、すでに数多くの商品を保有しており、それぞれの商品にファンがついていることはあるが、この方法はブランド自体にファンを作るのに有効なものであり、R&D要素の強い取り組みとして実践している企業が多い。
・コクヨ KOKUYO THINK OF THINGS
文房具・家具メーカーであるKOKUYOが行っている [THINK OF THINGS]という取り組みは、リアルな店舗とECによる直販だが、その店舗ビルの中で企画・開発・販売・検証を一貫して行うものづくりのサイクルに顧客を巻き込むモデルになっている。THINK OF THINGS WEBサイトより
・ミツカン Mizkan ZENB
食品メーカーであるMizkanの [ZENB]は、植物を可能な限りまるごと使用したサステナブルな食生活を提案する事をテーマに生まれたD2Cブランド。新規事業の取り組みの中で開発された加工食品が起点となっている。(もともとD2Cブランドを立ち上げるつもりで始まった事業ではなく、最終的にD2Cという形になった背景がある)。自社ECのみで商品の販売を行うことで、ブランドのビジョンや背景をきちんと伝えることができるため、ブランド全体への思い入れを強めることができ、ユーザーとのより深い関係構築が可能になる。また、このブランドを通じてミツカンが目指す方向性を共有する企業ブランディングとしても機能している。
ZENB WEBサイトより
2. 買収・提携型
自社の取り入れたい特定のセグメントに強いD2Cブランドを買収・提携する方法。資金力のある大企業がより短期間でD2Cブランドが保有するデータとマーケティングの知見を得る選択肢である。また、これまでリーチできていなかった顧客やファンとの繋がりを作るのに有益である。
・資生堂: Drunk Elephant
資生堂が人体にも環境にも優しい“クリーンビューティ”市場に進出するために買収したアメリカの新興スキンケアブランドである [Drunk Elephant]。ハイポテンシーな攻めの処方、高価格帯、ポップな色使いのパッケージが特徴のブランド。Drunk Elephantの顧客層は従来の資生堂のものとは異なる属性である。この買収により資生堂は新たな顧客を取り入れることに成功した。また、ソーシャルメディアを上手く活用したユニークで共感性の高いコミュニケーションで得られたD2Cマーケティングの知見やノウハウを得ることが可能になった。
Drunk Elephant WEBサイトより