連邦レベルの大麻合法化を目指す米民主党トップの意気込み

上院院内総務チャック·シューマー(Getty Images)


しかし、サウスダコタの住民投票では54%が合法化を支持したものの、無効になる可能性がある。同州のクリスティ・ノーム知事(共和党)は、草案が州の単一主題ルールに違反するとして、ハイウェイ・パトロールの保安官や警察署長に訴訟を起こすよう命じたのだ。同州の最高裁は、まだ最終判断を下していない。

バイデン大統領は判断を保留


もう1つの障害は、ジョー・バイデン大統領だ。バイデンが支持するのは大麻の非犯罪化であって、合法化ではない。シューマーとブッカー、ワイデンは、「ホワイトハウスは、我々が大麻合法化法案を提案することを承知している。我々は彼らに草案を見せ、支援を求めたい」と述べて、バイデンと考えの違いが小さいことをアピールした。

しかし、大統領報道官のジェン・サキは、同日行われたホワイトハウスでの記者会見で次のように述べ、シューマーらをけん制した。「過去に大統領の大麻に対する見解を説明しているが、それから何も変わっていない。現時点では大麻合法化法案への支持は表明しない」

サキは別の質問に対する回答で、バイデンとこの法案について話をしていないことを明らかにした。「繰り返しになるが、大統領の姿勢は変わっておらず、非犯罪化の実現に意気込みを見せている。私はここ数日、大統領と大麻や合法化法案について話をしていない」と彼女は述べた。

シューマーとブッカー、ワイデンの法案の課題は、この法案自体が全米での大麻の合法化を推進するものではなく、州に判断を委ねるものである点だ。法案が可決された場合、連保政府による規制物質リストから大麻が削除され、その規制はFDA(米国食品医薬品局)、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局、酒類タバコ税貿易管理局が担うことになるが、州ごとの合法化や規制は州政府が判断することになる。

このように大麻合法化には課題も多いが、ブッカーは次のように述べて今回の法案の意義の大きさをアピールした。「今日は歴史的な一日だ。米国史上初めて、上院多数派院内総務が大麻規制の廃止を呼びかけたのだ」

編集=上田裕資

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