連邦レベルの大麻合法化を目指す米民主党トップの意気込み

上院院内総務チャック·シューマー(Getty Images)

米国史上初めて、上院多数派院内総務が連邦政府による大麻規制を廃止する法案を提案した。しかし、法案の成立は容易でないと見られている。

7月14日にワシントンD.C.にある国会議事堂で行われた記者会見で、チャック・シューマー上院院内総務と民主党の上院議員のコリー・ブッカーとロン・ワイデンは、大麻合法化に向けた法案「Cannabis Administration and Opportunity Act」の草案を発表した。可決すれば、大麻をアルコールやタバコと同じような方法で規制し、課税することになる。

上院の勢力は、民主党と共和党が50議席で拮抗している。フィリバスター(議事妨害)と呼ばれるこの事態を終わらせて法案採決を進めるためには、最低でも60%の賛成を得る必要がある。

「現段階で必要な票数は集まっていないが、事前の同意を求める集会では大多数の賛同を得ている。我々は、その結果を他の議員に示して支援を求め、法案を速やかに可決させたい」とシューマーは記者会見で述べた。

今回示された提案は討議草案で、正式な法案ではない。シューマーらは、9月1日までに議会の意見やパブリックコメントを集め、最終的な法案を作成するという。

シューマーは法案可決が容易でないことを理解しているが、「我々は変化を起こすために戦う。米国民は我々の味方だ」と強い意気込みを口にした。彼の発言の背景には、米国民の70%が大麻合法化を支持しており、自身の地元であるニューヨーク州をはじめとする18州が成人による利用を認めているという事実がある。

シューマーは、2020年の大統領選挙と同時に行われた住民投票で、サウスダコタで成人の大麻利用が合法化されたことにも触れ、次のように述べた。

「全米で最も保守的な州の1つであるサウスダコタでも、多数の住民が成人による嗜好品としての大麻使用に賛成した。サウスダコタで実現できるのであれば、上院でも実現できるはずだ」
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編集=上田裕資

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