ストレスとパフォーマンスの交点
必ずしもそうではありません。生命の危機に瀕したとき、私たちはストレスとの戦いに備えるか、または逃げるかを促されます。NIMHは「脈拍が早く、呼吸が速くなり、筋肉が緊張すると同時に脳がより多くの酸素を使い、活動が活発になります。これらはすべて、生存を目的とした機能であり、ストレスに対する反応なのです」と、説明しています。
また、危険な状況に直面していないときにもストレスは有用な働きをします。1908年に行われた研究(ヤーキーズ・ドットソンの法則)によると、ストレスとパフォーマンスの間には「最適な」交点があるとされています。
ストレスが強すぎると燃え尽きてしまいますが、ストレスとパフォーマンスの最適な交点は、特に仕事において役立つ可能性があります。マッキンゼー・アンド・カンパニーの記事が説明しているように、自分自身のストレスを理解し見極めれば、ストレスを効果的にコントロールして、パフォーマンスを向上させることができるでしょう。
どのようにストレスに対処すればよいのか
ストレスを適切に管理できなければ、上述したような健康状態に陥る可能性があります。
マッキンゼーの記事のグラフが示すように、ストレスを感じた期間の後には、ある一定期間、回復と休息のための時間をとる必要があります。
ストレスがピークに達した後には、休息時間が必要(イメージ: McKinsey & Company)
WHOは昨年、ストレスの対処法を分かりやすく示した「ストレス時代における問題への対処方法(図解)」というガイドを発表しました。ここでは、自分をグラウンディングする方法や、ストレスの問題と原因を特定する術が紹介されています。
ストレスの原因を突き止める(イメージ: WHO)
また、NHSのウェブサイトでも、ストレスや燃え尽き症候群に対処するためのアドバイスが紹介されています。大きな仕事は分担する、事前の計画を立てる、一人で抱え込まず相談するなどです。NIMHのウェブサイトでは、定期的に運動をすることと、睡眠不足やアルコール摂取量の増加など、ストレスに対する体の反応の兆候を見極めることなどを提案しています。
ストレスをコントロールできると、意外な成果が得られることもあります。最近の研究では、ストレスの緩和により、一度白髪になった髪が再び黒く戻る可能性があることも分かっています。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
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