前長官は出演したCBSの番組で、まだ新型コロナウイルスに感染していない人の「大半」はデルタ株に感染する可能性が高いと指摘。入院が必要になる危険性の点から見て、この変異株は感染した多くの人たちにとって、「生涯のうちに感染するウイルスの中で、最も深刻な影響を受けるものの一つになるだろう」と語った。
トランプ前政権下で2年間FDA長官を務めたゴットリーブはさらに、デルタ型は「感染力が非常に強く」、ワクチン未接種の人のほとんどが感染することになるとして、次のように述べている。
「米国人のほぼ50%がワクチン接種を完了、人口の3分の1程度がすでに感染したとみられることから、すでに多くの人が、新型コロナウイルスの影響を受けやすい状態ではなくなっている。それが最も重要な点だ」
「このウイルスの危険にさらされているのが国内のわずか25%、またはそれ以下の人になったとしても、それでも“絶対的”に“大勢の人”だ」
前長官によると、現在のところ、デルタ株に感染して入院する人の97%がワクチン未接種の人となっている。感染後に死亡した人についても、ほぼ同様の傾向がみられるという。
ワクチンはデルタ株にも有効
ワクチンはこれまでのところ、デルタ株に対しても有効性を保っているとみられる。そのため公衆衛生当局は、接種率が低い地域の「リスクが高まっている」ことを繰り返し強調している。
ニューヨークタイムズ紙がまとめたデータによると、米国では過去2週間で、入院者数が30%以上増加。ネバダ、ミシシッピ、アーカンソー、オクラホマの4州では、80%以上増えている。
死者数も増加しているが、1日あたり300人前後となっており、昨年の冬の時期に比べれば、大幅に少ない人数ににとどまっている。こうした状況を受け、一部の地域では再び、住民の行動に制限を課す措置が講じられている。
現状に警鐘を鳴らしている公衆衛生の専門家は、ゴットリーブ前長官だけではない。ビベック・マーシー医務総監も18日に出演したABCニュースの番組で、ワクチン接種率の低い国の一部で感染者が急増がしていることについて、「憂慮している」と発言。必要な対策を講じる必要があると述べている。
一方、こうした警告は接種を拒否してきた人たちのワクチンに対する警戒感をさらに高めている可能性もあるようだ。ハリス世論調査が7月9~11日に実施、先ごろ発表した調査結果によると、回答した成人のうち、ワクチン接種を受けていない人の62%が、「デルタ株によって、ワクチン接種が必要なのかどうか疑問に思うようになった」と答えている。