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シリコンバレーの新興企業センス・フォトニクス(Sense Photonics)は、自動運転テクノロジーの視覚と呼ばれるLiDARの価格を引き下げると同時に、より目立たないものにすることを目指している。

現状の自動運転車の大半は、屋根の上に回転するコーヒー缶のような機器を設置して、そこからレーザービームを照射することで、周囲の車両や建物、交通標識、歩行者などを検知している。

しかし、これらのデバイスは不格好であるだけでなく空気抵抗が大きく、高価なのが難点で、1ユニットのコストが7万5000ドルに及ぶ場合もある。

昨年8月にセンス社のCEOに就任したショーナ・マッキンタイアは、前職のグーグルでは車載ソフトウェアのGAS(Google Automotive Services)プログラムを率いていた。彼女によると同社は、最新のiPhoneやiPadで採用された2つのテクノロジーの組み合わせで、従来のスキャン方式のLiDARを上回る性能を実現するという。

センス社はVCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)と呼ばれる垂直共振器型の面発光レーザーと、SPAD(Single-Photon Avalanche Detector)センサーを組み合わせ、「フラッシュLiDAR」と呼ばれるユニットを構成している。

VCSELは、基板への組み込みが難しい半導体レーザーとは異なり、垂直共振器からチップに対して垂直方向にレーザーを照射する。この仕組みによって同社は、可動部がないソリッドステート(固定式)のシステムを実現している。

フラッシュLiDARは、従来のシステムとは異なり360度の視界を捉えることは不可能だが、センス社のプラットホームは水平方向に180度、垂直方向に90度まで視野を広げることが可能という。

マッキンタイヤーによると、センス社のシステムはダッシュボードの上やその内部など、車両の様々な位置に搭載可能で、現状ではバンパーやグリルの中に設置する場合が多いという。同社のシステムは、最大200メートル前方の物体を検出可能だ。

各社が低コスト化でしのぎを削る


さらに、センス社のシステム最大の利点は、従来のLiDARシステムが毎秒200万点の3D画像を生成するのに対し、毎秒1000万点の3D画像を生成出来る点だ。これにより、既存の高価なシステムの3倍から5倍の速度で、車両をナビゲートすることが可能になるという。

この分野の競争は厳しく、IbeoとOusterの少なくとも2社が、同様の低コスト設計のシステムを開発中し、1000ドルを大幅に下回る価格に抑えようとしている。

センス社の従業員は約80名で、サンフランシスコ、ノースカロライナ州ダーラム、スコットランドのエジンバラの3都市に拠点を置いている。開発の指揮はフォトニクス(光通信学)の著名な学者でエンジニアのロバート・ヘンダーソン博士がとっている。

マッキンタイヤーによると、センス社はすでに、名前を明かせない「デトロイトを拠点とする主要な自動車メーカー」との共同で開発を進めているという。同社の初期出資元は、サムスンベンチャーズとシェルベンチャーズだが、大手自動車サプライヤーの2社が出資を検討中という。

今のところ、センス社はSPAC(特別目的買収会社)との取引を発表していないが、マッキンタイアはその可能性を否定しなかった。

編集=上田裕資

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