ストリーミングを敵視したスピルバーグが「Netflixと契約」の舞台裏

映画監督のスティーブン・スピルバーグ / Getty Images


NBCユニバーサルは現在、コンテンツの拡充に努めており、1月には米国のプロレス団体WWEの試合の5年間の独占配信権を、10億ドルと伝えられる金額で買収しPeacockで配信しようとしている。また、3月にNBCスポーツはNFLとの契約を11年間延長し、サンデーナイトフットボールの試合を、放送だけでなくストリーミングでもオンエアすると発表した。

NBCユニバーサルはさらに、ネットフリックスで人気を誇ったドラマ「The Office」の独占配信権を5億ドルでネットフリックスからもぎ取り、Peacockで配信中だ。しかし、その投資が功を奏しているかどうかは不明だ。The Officeは、ニールセンが発表するライセンス作品のランキングのトップ10から外れているが、これは同社がストリーミングの集計対象にPeacockを含めていないためだ。

スピルバーグのスタジオとNetflixの関係


一方で、スピルバーグのスタジオであるアンブリンとネットフリックスは、何年も前から取引をしている。アンブリンは、ネットフリックス向けに10話のリミテッドシリーズ「The Haunting of Hill House」とその続編「The Haunting of Bly Manor」を手がけており、物議を醸す電子タバコ会社Juulを題材にしたジェイミー・ドゥシャーム(Jamie Ducharme)の著書「The Big Vape」をベースとした、ドキュメンタリー作品を制作しようとしている。

ネットフリックスは、アンブリンが制作した「シカゴ7裁判」をパラマウント映画から買い取り、受賞は逃したがアカデミー賞5部門にノミネートさせた。また、ブラッドリー・クーパー監督で制作が進行中の作品「Maestro」でもネットフリックスはアンブリンとコラボを行っている。

これらのことを踏まえて、今回のスピルバーグとネットフリックスの契約の発表は、業界に大きな衝撃を与えることになった。スピルバーグは今後も、ユニバーサルで劇場公開用の映画を撮影していく予定であり、そこには現在制作中の彼の少年時代を題材にした半自伝的作品が含まれている。この作品は、スピルバーグの両親役をポール・ダノとミシェル・ウイリアムズらが演じる。また、スピルバーグの叔父役をセス・ローゲンが演じている。

スピルバーグとNBCユニバーサルが結んだ配給契約は2025年まで延長され、ネットフリックスとの契約の影響を受けることはないとされている。

NBCユニバーサルの広報担当者は、フォーブスのコメント要請に応じなかった。

編集=上田裕資

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