英医学誌ランセットの「EClinicalMedicine」に7月15日に発表された新たな研究結果によると、2019年12月~20年5月の7カ月間に56カ国の感染者およそ4000人を対象に行った調査では、上記のほか「発疹、皮膚の剥離、筋肉のけいれん、難聴、耳鳴り」などの後遺症が特定された。
また、最も多くの感染者が経験していた後遺症は、「倦怠感、ブレインフォグ(脳の霧、頭がぼうっとする)、PEM(post-exertional malaise、軽い身体的、精神的活動の12~24時間以内にひどい倦怠感その他の症状に見舞われ、それが数日~数週間続く)」だという。
論文によれば、これまで感染後の後遺症として「一般的なもの」とはされていなかった「発作、自殺傾向、顔面神経麻痺、感染前にはなかったアレルギー、薬に対する過敏症」などを経験している人もいる。
調査に協力した感染者のうち、感染から6カ月後も後遺症が続いていた人の症状は、平均14種類だった。また、これらの人たちのほぼ半数(45%)が、こうした症状のために勤務時間を減らしており、およそ5人に1人(22%)は、仕事を辞めたり休んだりしていた。
症状の程度とは無関係
また、新型コロナウイルスの感染時の症状の程度は、後遺症が起きる可能性と強く結び付いていないとみられる。つまり、感染の可能性が高い子供や若者、ワクチン未接種の人が感染し、こうした後遺症に悩む危険性は高いといえる。新型コロナウイルス以外のその他の感染症の中には、回復してから長い時間がたった後に発症し、数週間、または数十年にわたって症状が続くものもある。
新たに発表された調査結果は初期のものであり、対象は入院が必要となった人に限定されている。また、診断基準も統一されているわけではないことから、後遺症が実際にはどれだけ高い確率で起きているか、まだ明確にはなっていない。後遺症が続く期間についても、現時点では明確ではない。
ただ、これまでのその他の調査結果では、感染者のうち後遺症を経験する人は、およそ10~30%とみられている(今後の研究により、変化する可能性がある)。