最上階51階までねじれまくる。モスクワ「螺旋タワー」の驚異

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エヴォリューション・タワーは高さ255メートルのらせん型高層ビルで、モスクワ・シティこと「モスクワ国際ビジネスセンター」(ロシア政府が古い工業地域をビジネス目的で再開発した地区)に建っている。約85000平方メートルの小売・レジャー施設と、約85000平方メートルのオフィス・公共エリアから構成されており、ロシアで12番目、ヨーロッパで20番目に高い建造物である。

この印象的な形状は、国際的な建設家チームRMJMが、スコットランドのアーティスト、カレン・フォーブスと共同で設計したものだ。従来、超高層ビルや特徴的な建造物でモスクワの名前が挙がることは一度もなかったが、DNAの二重らせん構造から着想を得たエヴォリューション・タワーは、今ではモスクワの空を彩る象徴となっている。

2本のリボンが互いに結び合っている姿のようにも見えるタワーは、各階で3度ずつねじれていくため、51階全体で150度以上のらせん形状となる。この方法だと、センターコアと15メートル間隔で配置された8本の柱自体はタワー最上部まで垂直に伸ばすことができる。つまり、らせん形状は建物外周の4点のみで成り立っているのだ。

タワー最上部には長さ41メートルの「アーチ」が2本かかっていて、2棟のビルがつながっているかのように見せている。

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表面を覆うLEDライト


タワーの表面は、ほぼすべてLEDライトに覆われている。ユーラシア大陸で有数の規模を持つ「メディアファサード(訳注:外壁や正面に照明装置などを設置し、建物の外観全体をフルに活用した演出をする仕組み)」だ。タワーの大きさや形状の面から、LED装置の取り付けや管理にはかなりの困難を伴ったものの、結果として世界最先端の照明制御・管理システムが完成した。

平面面積は2.55ヘクタールだが、その大半は地上でテラス状に張り出した土台部分であり、残りがタワーだ。タワーとテラスの下には、地下3階の土台部分「エヴォリューション・ギャラリー」がある。面積は28000平方メートル(30万平方フィート)で、出口は最寄りの地下鉄の駅と直接つながっている。

テラスの中はショッピングモールで、屋上にも広々とした空間の中に噴水や段庭やカフェがあり、訪れた人がくつろぐこともできる。自然と大都市圏との強いつながりが得られる場所なのだ。

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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