生まれ変わったトヨタ86とスバルBRZは期待に応えたのか?


さて、新エンジンはどうだろう。初代の2.0リッターの代わりに、新型の2台には、2.4リッターのスバル製ボクサー・エンジンを搭載。パワーが207PSから13%増の235PSに上がり、トルクは212Nmから250Nmにアップしている。それには、6MTか6ATのオプションがある。ちなみに、最新の「アイサイト」が欲しい人は、BRZの6AT仕様を買うしかない。

エンジン内部の様子

まず、GR86に乗ったとたん、クルマの出足というか、スロットルのレスポンスの良さに頷いた。やはり、このぐらいの元気が欲しい。スロットルを踏んだ瞬間から気持ちよく加速してくれる。つまり、乗って数秒経たないうちに、パワーが適度にアップしていることに満足できる。実は、このぐらいのパワーは最初から欲しかったと思った。やはり、7年前に初代86とBRZが登場した時から、国内外のファンは「もっとパワーが欲しい」と言い続けてきているだけに、2社はその願望とニーズに応えている。

同じエンジンを積んでいるけど、微妙に違うのは、ECU制御。BRZは踏んだら、踏んだだけという感じだけど、GR86の実用域の切り出し感は大きい。やはり、そういうセッティングは、多少ピーキーな反応が必要とされるドリフトをしたいユーザーにとってありがたい設定。6MTも6ATとの組み合わせは、2台とも同じく、2.4Lエンジンとの相性が良い。

GRの走行中の後ろ姿

BRZの走行中の後ろ姿

2台とも、似たようなサスペンションを採用しているけど、BRZの場合、リアスタビライザーは車体に直接ついているので、リアのトラクションがGR86より若干良い。でも、そういう設定はこの2台をうまく差別化させていると思うし、わざとそういう味付けにしていると言える。

というのは、コーナーでは、BRZのリアは粘って踏ん張って流れないように動くけど、同じように走った場合、GR86のテールがBRZよりも早く横滑る傾向がある。でも、GR86はドリフトしたがるとは言っても、テールが滑り始めても、修正しやすいし、クルマは全体的にコントロールしやすい。BRZももちろん、ドリフトできるけど、コーナーではもう少し高レベルの技術が必要だろう。

正面からの比較写真

この試乗会の日をずっと待ちに待っていた。そして同時に2台に乗った甲斐があった。どちらも格好良くなったし、気持ちよくパワフルになった。それに、内装の化粧し直しにも納得。実際には、そんな簡単な事ではないだろうけど、この兄弟車を仲良く作ってくれたトヨタとスバルにエールを送りたい。僕の独断と偏見で評価するなら、サーキットを走る時は、GR86に乗りたいと思うけど、普段毎日乗るなら、BRZを僅かの差で選ぶかなと思う。価格はまだ未発表だけど、おそらく現行車の310万円あたりからになるだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

文=ピーターライオン

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