アメリカン・ドリームを運営するトリプル・ファイブによって「ジ・アベニュー(The Avenue)」と名付けられたこのラグジュアリー棟では、アンカーストア(中核テナント)として、高級百貨店のサックス・フィフス・アベニューが出店する。
アメリカン・ドリームによると、同店に加えて約20の小売店舗と、高級レストランの「カルパッチョ」、シャンパン・バーの「ブリュット」も、この日にオープンする予定だという。
ただし、ラグジュアリー棟の店舗スペースにはいまだに空きがあり、アメリカン・ドリームはいまだに、これを埋めるための努力を続けている状況だ。これらの空きスペースは、このプロジェクトの建設にかかった年月のあいだに、目玉となるはずのテナントがいくつか経営破綻し、出店計画が中止されたことで生じたものだ。
ラグジュアリー棟はかつて、このモールの中核を占める要素として大々的に宣伝されたが、その後、予定されていたテナントの一部が経営破綻に陥った。また、テナントから出店の確約を得るのに難航したうえに、施設の建設にも問題を抱え、さらにコロナ禍が追い討ちをかけたことで、開業は何度も延期された。
ラグジュアリー棟は当初、2020年3月にオープンする予定だった。だが開業はまず2021年3月に先送りされ、さらに2021年秋まで再延期された。
内部事情に詳しい関係者の話によると、サックス・フィフス・アベニュー自体は、当初の開業日に店舗をオープンする準備を整えていたという。だが、ラグジュアリー棟に出店する小売企業の顔ぶれが揃い、新型コロナウイルスの感染防止対策が緩和されるまで待つ道を選んだという。
アメリカン・ドリームによる当初の計画は、サックス・フィフス・アベニューを、4つのフラッグシップ・アンカーストアの一つと位置づけるもので、ほかに百貨店チェーンのロード&テイラーとバーニーズ・ニューヨーク、玩具店のFAOシュワルツ(FAO Schwarz)を誘致する計画だった。
特にFAOシュワルツについては、同ブランドを象徴するニューヨークの店舗に代わる存在として、世界から観光客を集めることが期待されていた。しかしこの計画は、親会社の米トイザらスの経営破綻で暗礁に乗り上げた。また、ロード&テイラーも経営破綻し、現在はオンライン専業の小売ブランドとなった。さらにバーニーズも、2020年2月までにすべての店舗を閉鎖し、その歴史に幕を下ろしている。