イリノイ州のすべての公立大学およびコミュニティカレッジに適用される「高等教育における入学者選考の公正性に関する法律(Higher Education Fair Admissions Act)」は、これらの教育機関が「イリノイ州の住民である志願者に対し、入学手続きの一環として標準試験の成績を教育機関に提出することを要求してはならず、標準試験成績の教育機関への提出は、志願者の選択に基づくものとする」としている。
同法案は、7月9日にJ・B・プリツカー州知事が署名して正式に成立した。起草者は、クリストファー・ベルト州上院議員(民主党)とラトーヤ・グリーンウッド州下院議員(民主党)。同法案は州議会で圧倒的多数に支持され、下院で109対8、上院で45対9で可決された。同法は2022年1月1日をもって発効する。
ベルト議員は、「大学は学生を受け入れる際に、標準試験に頼るべきではない」と述べる。「試験成績からの脱却という移行は必要なものであり、イリノイ州の大学に合格する能力がありながら、試験に対して不安を抱えている学生が恩恵を得られるだろう」
コロラド州でも5月に同様の法案が可決され、大学入試において標準試験の利用を廃止する動きは、全米で勢いを増しつつある。
大学入学時の試験の廃止を求める運動を全米で展開する団体「FairTest」によると、ACT/SATのスコア提出を要求しない米国の4年制大学は現在1500校を超えており、米国の学士号発行機関の約65%を占める。2021年6月現在、ACT/SATスコア提出を廃止している、または選択制にしている大学の最新リストは、FairTestのウェブサイトに掲載されている。
FairTestのエグゼクティブディレクターを務めるボブ・シェーファー(Bob Schaeffer)は、「毎週のように、ますます多くの大学入試事務局が、少なくとも2022年秋入学のサイクルまで試験を選択制とすることを発表している。ACT/SATスコア提出という必須要件を複数年度にわたって撤廃する大学も多い」と述べる。