ビジネス

2021.07.17

ヴァージン社CEOが語る、宇宙旅行「年間400回」実施への野望

ヴァージン・ギャラクティックCEO マイケル・コルグレイザー(Paul A. Hebert/Getty Images)

ヴァージン・ギャラクティックは7月11日、同社の創業者のリチャード・ブランソンを宇宙に送り込み、2022年からの商業宇宙旅行の実現に向けて、重要なマイルストーンを達成した。しかし、ブランソンは慈善事業に専念するため、プロジェクトの指揮から離れようとしており、同社の未来はCEOのマイケル・コルグレイザー(Michael Colglazier)の手腕にかかっている。

ディズニーパークスの元プレジデントのコルグレイザーは、昨年7月にギャラクティック社のCEOに就任した。ブランソンが宇宙への夢を実現した当日、ニューメキシコ州の宇宙港の一室で、フォーブスは彼に話を聞くことができた。コルグレイザーは、同社が提供するものは、単なる宇宙飛行ではないと強調した。

「私たちが提供するプロダクトは、一生の思い出になるものだ。顧客が生涯忘れられないエクスペリエンスを提供していく」と彼は話した。

そのために、ギャラクティック社は最終的に、ニューメキシコ州だけでなく、世界中に宇宙港を設置していくと彼は説明する。「私たちはまずニューメキシコ州と協力して、宇宙港を中心としたエクスペリエンスを構築し、それを他の地域に拡大していく」

そのためには、すべての拠点からほぼ1日に1回のペースで宇宙飛行を行う必要があり、製造キャパシティの大幅な拡大も必要になるとコルグレイザーは述べている。同社が必要とする宇宙船と、それを上空に運ぶための母船の数は、「一桁台の後半から二桁台前半」になると彼は予想している。

コルグレイザーは具体的なスケジュールは明かさなかったものの、「当社が運営する宇宙基地では、年間400回のフライトが行われることになる」と述べた。

彼らの競合のブルーオリジンも、間もなく創業者のジェフ・ベゾスを宇宙に送り出すが、コルグレイザーは「この市場は競争を気にするには大きすぎる」と述べている。彼はまた、ブルーオリジンがロケットで顧客を垂直に宇宙に打ち上げるのに対し、ギャラクティック社の場合は、宇宙船を飛行機に乗せて上空まで運ぶ点が、差別要因になると述べた。

ギャラクティック社の宇宙船は、キャリアプレーンによって約15キロ上空まで運ばれた後、ロケットエンジンを噴射して宇宙に向かう。「我々の機体はバレエのようにアクロバティックに動いて、地球の素晴らしい景色を見せてくれる」とコルグレイザーは熱弁した。

しかし、同社がこの優雅なエクスペリエンスを顧客に提供できるようになるまでには、かなりの資本が必要になる。ギャラクティック社は12日、5億ドルの株式を追加で売り出すことを発表した。
次ページ > 収益源の多角化

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事