“ベーシック”という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろう? 定番、基本、普遍的……。そう、どちらかというと、“変化”とは真逆のイメージかもしれない。物事の価値観が大きく変化する中で、その流れに柔軟に対応するためにもちたい自分軸。

ベーシック=軸と向き合うことで見えてくるおしゃれの可能性を、「Marisol」などで活躍するエディター、磯部安伽が提案する。


この仕事をしていると、「一生ものを教えてください」という質問を頻繁に受けます。なかなかにむずかしい質問です。

私自身、一生ものとまではいかなくても、5年は愛用しようと熟考して手に入れたものに、あっという間に飽きてしまうこともいまだにあって……。そんな時は、「失敗もまた楽しい」と、自分自身に言い聞かせるようにしています(笑)。

そんな私のクローゼットの中から、10年以上愛せる名品をピックアップしてみました。これらの共通点はひとつ。気ままに移り変わるトレンドに、柔軟になじんでくれるものであること。おしゃれや生き方のヒントが、この名品たちに隠れている気がするのです。

1. エルメスのケリー



ふだん買い物に関しては、かなり慎重派の私が、珍しく衝動買いしたのがこのケリー。衝動が一生ものになった奇跡の出会いでした。決して気負わず、カジュアルに。でも、〝どんな服にでも合わせる〞という大ざっぱな感覚ではなく、敬意を払って意図的に持つ。それが私のケリー像です。

2. マルジェラのタビ



マルジェラの初コレクションで発表されたタビは、30年以上たった今も、斬新な印象を与えてくれる逸品です。実は、私のタビデビューはつい最近。ほかでは出せないこの〝クセ〞が、ベーシックな服にビシッときく。すっかりこの名品靴に夢中です。

3. ティファニーの小粒パール



ある雑誌で担当していた連載で使用し、チーム全員で思い出買いしたネックレス。通常のパールよりも小粒だから、重ねづけにぴったり。今はコインネックレスと一緒に楽しんでいますが、きっとまだ見ぬネクストトレンドにも、寄り添ってくれるはずです。

4. カルティエのタンク



洗練を極めた上品なたたずまいに、買った当初は自分がまったく追いつかず、なかなかつけられなった18Kのタンク。ここ数年、着用頻度がぐっと増えました。手や腕のシワが味となり、この絶妙な存在感に、負けなくなったのかな? 歳をとるのも悪くないかもしれません。

5. エルメスのスカーフ




80年代、90年代のファッションが注目を集め、エルメスのスカーフ人気が、再燃しています。手前のバンダナ柄スカーフは、2年ほど前、仲よしのスタイリストさんからいただいたもの。奥の2枚は父からの、30年以上も前のプレゼント。思い出と一緒の名品ほど、特別なものはありません。

6. ザ・ロウのマルゴー



今回紹介した6つの名品の中で、一番の新入りがこのバッグ。マルゴー自体、まだまだ歴史も浅く、私も昨年買ったばかりなので10年愛せるかどうかはまったくの未知数。シンプルなデザインに潜むパワーに、新時代の名品となる可能性を感じています。

[注] 紹介されたアイテムはすべて私物です。販売終了している場合もあります。


磯部安伽◎各女性誌の人気企画を数多く手がけるファッションエディター。確立されたスタイルを軸に、時代の空気をしなやかに読み解く感性を添えた「進化し続けるベーシック」を提案する私服企画も、多くの読者の憧れと共感を得ている。著書に『ファッションエディター磯部安伽のスマートクローゼット』(KADOKAWA)

この記事は、Marisol ONLINE 2021年6月29日の記事を転載したものです。
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撮影=魚地武大(TENT/物) ヘア=左右田実樹 スタイリスト=石毛のりえ 構成・文=磯部安伽

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