サッカークラブは「ファントークン」とどう付き合うべきか? キーマン達が語る可能性

(c) 湘南ベルマーレ


ファンクラブとの棲み分けは?


「鎌倉インテルのように、これから道を作っていく若いクラブにとってはトークンへの参入障壁はそう高くないが、歴史のあるクラブでは既存のファンクラブとハレーションを起こすのではないか?」。四方氏は湘南ベルマーレの加藤氏に尋ねた。
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1968年創設と長い歴史を誇る湘南ベルマーレは、今年1月に「FiNANCiE」を運営するフィナンシェと組んで日本のプロスポーツチームとして初めてクラブトークンを発行した。今いるJ1に定着するために予算面でも現状の25億円から一段上の規模感を目指していた。J1の平均は50億円だ。もちろんコロナ禍の影響もあって、いち早く参入を決めた。このトークン販売で500万円以上のファンディングを達成し、11月6日から21日には初回に続き国内プロスポーツチーム初となる追加トークンの販売を行った。

「他のサッカークラブや野球チームからの問い合わせを多数受けましたが、既存のファンクラブとどう棲み分けしているか?という質問が一番多かったです」と加藤氏。やはり成否を左右するカギのようだ。

湘南ベルマーレの8月時点でのトークンホルダーは約1800人で、トークンは持っていないがFiNANCiE内でお気に入り登録しているのが約3000人。Jリーグが推進するJチケでの登録者は約5万人にのぼり、その内ファンクラブへの加入者は約1万人という規模感だ。
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「1年更新を前提にあらかじめメニューを用意して、それをお買い上げいただくのがファンクラブで、一緒にメニューを作っていくのがファントークン。価値がお互いに上がっていけば良いという世界観で、購入者が売りさえしなければ、関係はずっと続いていくものだと考えています」(湘南ベルマーレ・加藤氏)


5月26日開催「緑と青の湘南トークンDAY」で掲出された、のぼり旗 (c) 湘南ベルマーレ

理論上の建付けはできているものの、ファントークンの施策がファンクラブでのサービスに寄ってしまう傾向はある。加藤氏は現段階では棲み分けを意識し過ぎず、トークンの普及のために様々なことに取り組んでいる実験の段階だという。第2回のクラブトークン販売では、11月27日のホーム最終戦での特別な観戦体験や地域活性化に向けた応援フラッグ掲出などの特典、トークンホルダー限定オンラインイベントの開催や応援フラッグのデザイン投票などを企画した。
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文=新川諒 編集=宇藤智子

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