ゲームクリエイター田畑端が「パラリンピックゲーム」に託す思い


課金による収益モデルが採用できないとなり、それ以外の収益方法を模索した結果、コンテンツを制作するために開発した技術自体を製品化して企業に販売することで、“to C”ではなく“to B”でマネタイズすることにしたのだ。

このサービスは“PEGASUS WORLD KIT(ペガサス ワールド キット)”として提供され、自社サービスをサイバー空間上に構築し、顧客とのエンゲージメントを高めながらマーケティング活動を行いたい企業に活用してもらう予定だという。ANAホールディングスが新規事業として展開する仮想旅行プロジェクトにも導入されることが決まっているそうだ。

アーティストたちが “アバター・ガラパーティ” に出演


これまでにない「ゲームを活用した社会課題の解決」という理想と、それをサステナブルな形で実現する田畑氏の手腕には驚かされるばかりだが、こうしたソーシャルグッドなスタイルを貫くからこそ、「応援したい!」と考える協力者も多いようだ。

9月19日までペガサスシティを舞台に開催中のバーチャルライブイベント“Avatar GALA Party(アバター ガラパーティ)”には、「ゲームを通じて社会貢献する」というコンセプトに共感したピコ太郎、ヴァーチャル・ドリカム、三代目 J SOUL BROTHERSなどの人気アーティストが出演。それぞれに掲げたソーシャルグッドなテーマを表現するとのことだ。

“アバター・ガラパーティ”は、アーティストとファンが一緒につくり上げるRPG型のライブイベント。単にライブを鑑賞するだけでなく、ライブ会場を建設したり、ライブ中止の危機をみんなで乗り越えるストーリーも用意され、ライブ当日までのワクワク感を楽しむことができるのだという。



これまでの社会貢献はボランティア精神によるところが大きかったが、田畑氏らのように才能も実力もあるトップクリエイターたちが真剣に取り組んでいくことで、ビジネスとしても成り立ち、サステナブルに普及できる可能性はますます高まっていくのではないだろうか。彼らの優れたアイデアでこれからも多くの社会課題が解決されていくことを期待したい。


田畑 端(たばた はじめ)◎スクウェア・エニックス在籍時代に『ファイナルファンタジーXV』の開発を手掛け、世界的な成功へと導く。 2019年2月に「ゲームはもっと進化できる」「ゲームにはゲーム以上のパワーがある」というコンセプトのもと、JP GAMESを設立。AAAクラスのロールプレイングゲーム開発経験や国内屈指の3DCG技術を駆使し、さまざまなビジネスパートナーとともに新たなゲームの世界を創造する。2019年4月にパラリンピック公式ゲーム『The Pegasus Dream Tour』の制作を発表。バーチャルなスポーツシティを舞台に、パラリンピックを未来のエンターテインメントとして表現する。

(c)2021 JP GAMES, Inc THE PEGASUS DREAM TOUR, and the shield logo are trademarks of JP GAMES, Inc All other trademarks and trade names are property of their respective owners
(c)2021 The International Paralympic Committee

文=高柳淳(パラサポWEB) 写真=谷口大輔

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