経済・社会

2021.07.15 07:00

ファイザー製ワクチン、デルタ株への有効性は本当に低下したのか?


ワイントラウブ助教は、イスラエル保健省の調査結果から、「ワクチンの有効性が低下した」と結論付けるのは難しいとの見方を示している。

ブースターショットは必要か?


デルタ株に対するワクチンの有効性が低下したとの指摘があること、そしてこの変異株は感染力が高まっていると考えられることから、接種後の免疫力の低下を補うための「ブースターショット(追加接種)」が必要との議論がある。だが、これについては、専門家や各国の当局者、製薬会社の間で見解が異なっている。

ファイザーは免疫力が低下する証拠があるとして、規制当局にブースターショットに対する承認を求めている(イスラエル当局は、免疫が低下している人を対象にすでに承認)。一方、米国の規制当局は先ごろ、「現時点では必要とは考えられない」との見解を示した。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長もまた、現時点では3回目の接種が必要であることを示す十分な証拠はないと発言。ワクチン接種を受けていない人を守るための行動を取る前にブースターショットの承認を求めてロビー活動を始めた製薬会社について、彼らを駆り立てているのは「強欲さだ」と批判している。

イスラエルの最新の調査結果でも、ファイザー製ワクチンを2回接種した後の重症化と入院を防ぐ効果は93%程度とされており、依然として高い数値となっている。デルタ株以外の変異株に対する有効性と比べても、ごくわずかに低くなっているだけだ。

編集=木内涼子

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