地球規模で深刻な海洋プラスチック問題
毎年800万トン以上のプラスチック廃棄物が海に流出している現在、プラスチックごみの削減に向けた新たな取り組みは喫緊の課題だ。海洋プラスチックごみは海洋生態系を破壊するばかりか、「マイクロプラスチック」と呼ばれる微小なプラスチック粒子となって、私たちの飲料水や食卓塩、空気中にまで混入する。これらのマイクロプラスチックは、地球上のほとんどのフードシステムで見つかっている。
しかし、プラスチックごみの山は減るどころか、問題は悪化する一方だ。2030年にはプラスチック廃棄物が今の6倍に増加し、危機を食い止めるための現在の努力がすべて無駄になりかねない。さらに、エクソンモービルやシェルといった石油会社が新たなプラスチックの製造に巨額の投資をすることで、状況はますます悪くなると予想される。
それでも現状のコストの低さと汎用性の高さを考えると、プラスチックが近い将来、大幅に代替素材に置き換わる可能性はきわめて低い。
環境破壊を食い止める鍵は、効率的で大規模なリサイクル
「プラスチックは用途が広く、軽量で扱いやすい。産業規模で迅速に商品を生産できる。今後もプラスチックはあらゆる場面で積極的に利用されるだろう」とマーンは説明する。だからこそ、廃プラスチックをもっと効率よく大量にリサイクルすることが、環境破壊を食い止める鍵になる。そこで、アッテンボロー卿に協力を仰いだのだという。
「アッテンボロー卿とは、先端的なリサイクル技術が環境汚染、とりわけ海洋汚染の問題にどう貢献できるかを話し合った」とマーンは言う。「アッテンボロー卿は厄介な海洋プラスチック問題の解決に向けて、新たな取り組みを喜んで支持すると言ってくれた」
EUはプラスチック税を導入
ヨーロッパ全体ではもっと体系的な取り組みが進んでいる。欧州連合(EU)は今年1月、リサイクルされないプラスチック包装ごみ1トンにつき、800ユーロ(946ドル)を企業に課税するプラスチック税を導入した。さらに英国政府は2022年から、再生プラスチック含有量が30パーセント未満のプラスチック包装1トンにつき、200ポンド(274ドル)の課税を予定している。
こうした規制はリサイクル市場のコスト競争力を高める一助になると、マーンは言う。「そのうち必ず、コスト面でも未使用原料に対抗できるようになる。産業界全体のために、できるかぎり再生プラスチックを使用した製品・資材を選択していくことが重要だ」。