2007年には、ロケットエンジンのテストで3人が死亡し、複数が重傷を負った。2014年には、同社初の宇宙船「VSSエンタープライズ」がテスト飛行中に壊れ、パイロットの1人が死亡、もう1人が入院した。国家運輸安全委員会によると、この事故は空気ブレーキシステムの展開が早すぎたことが原因であり、ヴァージン・ギャラクティック社の契約企業であるスケールド・コンポジッツ社とFAA(連邦航空局)の双方が、ヒューマンエラーが墜落につながる可能性を考慮していなかったと批判された。
ギャラクティック社の宇宙船の模型を見る(左)アーノルド・シュワルツェネッガーと(右)リチャード・ブランソン(2009年撮影、Getty Images)
しかし、ギャラクティック社はその後も前進を続けた。ブランソンを今回、宇宙に運んだ2番目の宇宙船「VSSユニティ」は、2016年にロールアウトされ、テストを開始していた。ユニティの初の動力飛行は2018年春に達成され、2018年12月には初の宇宙飛行を成功させていた。
その翌年、ギャラクティック社は、著名投資家のチャマス・パリハピティヤが設立した特別目的買収会社ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィアと合併し、宇宙旅行会社としては初めての上場会社となった。ブランソンを乗せた7月11日の飛行は、2022年に予定されている初の商用旅客飛行への準備を整えるための一連のテスト飛行の第2弾だった。
同社の研究業務担当バイスプレジデントのシリシャ・バンドラは、顧客であるフロリダ大学の委託を受けて実験を行った。主任オペレーションエンジニアのコリン・ベネットは、機内の設備や手順の評価を行い、主任宇宙飛行士教官のベス・モーゼスは他の実験者を監督していた。
黒字化は2028年以降
今年6月にFAAはギャラクティック社のライセンスを拡大し、民間人を宇宙へ運ぶ商業宇宙旅行を開始する許可を与えた。しかし、同社がブランソンが手がけるヴァージン航空のような成功を実現するには、まだ長い道のりが必要だ。モルガン・スタンレーの最近のレポートによると、ギャラクティック社がフリーキャッシュフローを黒字化するのは2028年になってからとされており、2030年の売上もまだ13億ドル程度と推測されている。
しかし今、ブランソンにとって、長年の夢が実現できたことは大きな勝利だ。
宇宙船の中での様子、リチャード・ブランソンは「一生に一度の経験」と話している。(Getty Images)
彼は、宇宙船の中でこう話していた。
「これは一生に一度の経験だ。私は今、美しい宇宙港を見下ろしている。このような美しい場所を作ってくれたみんなに、おめでとうと言いたい。ヴァージン・ギャラクティック社の素晴らしいスタッフ全員が、17年間のハードな仕事でここまで来られたことを祝福したい」