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人から否定されると、自分の考えにとたんに自信がなくなる。自分がとるに足らないちっぽけな存在に思えて、自分が本当にやりたいことさえわからなくなってしまう──。そんな不安に襲われたことはないだろうか。

こうした孤独感や疎外感の根っこには、「自分」という存在への不確かさがあると、精神科医である和田秀樹氏は言う。自分がはっきりしていなければ、他人に流されやすくなり、いつまでたっても不安から抜け出すことができないからだ。

不幸や不安に右往左往せず、前向きに生きられるようになるにはどうすればいいのか。

同じように悩んだ明治の文豪・夏目漱石は、「自分本位」で考えることが重要だと説いた。今回は、和田氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣 精神科医が伝えたい 誰にでもある「疎外感」との向き合い方』(大和書房)から一部抜粋し、不安を軽減して自信を育てる考え方について見ていこう。


「自分」とは何か? 漱石の「自己本位」


あなたはいま、「自分は自分」だと確信を持って言えるでしょうか。「そんなの当たり前。自分は自分以外にないでしょ」と自信満々に言える人でも、ときにはなんとなく「自分」が曖昧になってしまう感覚、「自分」という存在が脆いもののように感じられたりすることがあるのではないでしょうか。

「これは、本当に自分がやりたいことなのだろうか?」
「これは、本当に自分が心の底から思った考えなのだろうか?」
「どこまでが自分の考えで、どこからが人の意見なんだろう?」
「自分と他人を分けるものは、どこにあるの?」
「〝自分”とは、いったい何なのか?」

こうやって考えていくと、思考は袋小路に迷い込み、考えれば考えるほど「自分」というものがなんだかわからなくなっていくようです。

孤独感や疎外感というものの根っこには、こうした「自分」の存在への不確かさがあります。「自分」というものがはっきりと感じられるときは、たとえ人から否定的なことを言われても「自分は自分、他人は他人」と受け流すことができます。いろいろ迷いながらも、わが道を進んでいけるでしょう。

でも、「自分」がはっきりしていないときには、人から否定されたりすると、自分の考えや行動にとたんに自信がなくなります。つい人の意見に流されたり、自分の本当の気持ちを押し殺して人に合わせたりしてしまいます。みなさんも、こうして自己嫌悪を感じたことがこれまでに一度はあるのではないでしょうか。

「誰も自分のことをわかってくれない」
「自分なんて、いてもいなくてもいい存在、ちっぽけな存在なんだ」

こういう気持ちになったりするのも、たいてい「自分」がはっきりしていないときです。まるで人生を前向きに切り拓いていこうとする気力が奪われるかのような気持ち。人生がつまらなく感じられ、不幸な気持ちになる感情です。

こうした孤独感や疎外感に対処するには、まず自分に対して「自分」の存在をはっきりさせないといけないのです。

和田秀樹著『孤独と上手につきあう9つの習慣』より

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